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デザインの見方

時代を超えて見る人に何かを与えるデザイン

細川 剛

    愛知万博 2005年

  • AD+D/大貫卓也

大貫卓也さんがデザインした愛知万博のロゴを僕が初めて見たのは、博報堂に入社したときのこと。ADC年鑑で、受賞作品として見ました。当時の正直な感想を言うと、「何だかよくわからない」でした。

例えば企業ロゴなどは、歴史・成り立ち・人格・提供価値などを包含したものが正面から見る"顔"として象徴化されたものです。そのため、ロゴの多くはその企業を象徴するもの、あるいはかっこいい、美しい、先進的など、わかりやすいイメージでデザインされます。そのようにつくられたロゴは、誰が見ても同じ意図が伝わる。しかし、このロゴはそうではなく、見る人によって色々な見方ができるデザインになっています。最近になってようやく、このロゴの意味を自分なりに理解することができました。

そのきっかけは、僕自身が2015年に開催された「水と土の芸術祭」のロゴをつくったことにあります。そのとき僕が意識したのは、見る人に参加してもらうこと。そのためには、こちらから一方的にコンセプトを伝えるのではなく、ロゴを見て考えてもらう必要がありました。それを実現する上では愛知万博ロゴのような、よい意味での曖昧さをもった佇まいが必要であることに気づいたのです。

あらためて愛知万博のロゴを見直してみると ...

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