IDEA AND CREATIVITY
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CAC60周年記念企画

当たり前のものに向かって、当たり前の言葉で書く

西村佳也 聞き手:武田さとみ

時代が変わっても変わらない広告コピーの本質や作法はどんなところにあるのか。第一回目は、西村佳也さんに、武田さとみさんが話を聞きました。

触ってごらん、ウールだよ。

(ザ・ウールマーク・カンパニー 1982年)

さくさくさく、ぱちん。

(ザ・ウールマーク・カンパニー 1975年)

体験することでコピーが変わる

武田:西村さんは以前、TCCの座談会で「時間をかけてコピーを書いている」とおっしゃっていました。そういう風に仕事ができたら素敵だと思うのですが、今の広告業界の仕事は納期や担当する期間が短く、色々なことが"速すぎる"と感じます。

西村:僕が担当した仕事は、大抵5年以上続いているんですね。一番長い仕事はサントリーウイスキー「山崎」で、30年近いつき合いになります。「なにも足さない。なにも引かない。」というコピーは、25年使っていただきました。西武百貨店を担当したときは、浅葉克己さんと出店する地域を5年ほどかけて回り、その都度建築現場を見学したり、店の周辺を歩きまわって現地の方の話を聞いたりしました。そうすると、その地域に暮らしている人たちが何を必要としているか、わかってくるんです。「女の時代。」はそんなドサ回りの後に生まれたコピーです。

武田:25年も使われるコピーは時代に左右されない耐久性を持っていて、絶対に変わらない商品の心臓を捉えているんだろうなと思います。その本質の捉え方はどうしたら身につきますか?

西村:コピーを考えるときに「長く使ってもらおう」とは考えていませんよね。山崎の場合も「ピュアモルトの価値はどこにあるか?」を考えた結果、自然に本質的な価値の表現にたどり着いたんだと思いますよ。

武田:最近は、西武のコピーのように取材をしたり、関係者にじっくり話を聞く時間を取るのが難しい状況にあります。

西村:広告の仕事は足を使ってネタを探すことが大事ですね。そこで直接の表現に繋がる発見がなかったとしても、ターゲットとコミュニケーションをしっかり取れていれば、大きな間違いを犯すことはなくなります。「山崎」の仕事も、もしも僕がお酒を飲まない人だったらウイスキーの広告をつくることはなかったと思います。その点、僕はもともと呑兵衛だったので …

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