リクルートグループを横断し、進学、人材、住宅、ブライダルなどさまざまな領域のクライアントに対峙するリクルートコミュニケーションズ。リクルートグループの資産を活用し、業界課題や社会課題の解決を目的とした「横断ビジネスソリューショングループ」が2016年4月より本格始動した。
領域を超えた価値を提供する
「横断ビジネスソリューショングループ」は、対峙するクライアントや、官公庁、自治体と共創し、ソーシャルイシューに取り組むチームだ。領域を限定しない専属メンバー6名と、リクルートが対峙する主要6領域で活躍するディレクター6名を加えた計12名で構成されている。
「コンセプトは会社に、そして社会にイノベーションを起こすこと。
一人ひとりの強みを生かし、課題設定から企画、実施、運営までの一連のプロセスを、社内外のステークホルダーと共創しながら進めていきます。決まりごとは法律を守り、倫理をわきまえることの2つだけ。キャラクターと個性がばらばらで、動物園のような組織といわれます」とマネージャー中村紀貴さんは話す。
チームの前身となったのは、シニアプロデューサー竹内誠一さんが住宅情報サイト『SUUMO』で行っていた取り組みだ。「住宅領域では昨今、物件情報だけでなく、暮らしの情報の価値が高まっています。物件のスペック情報を中心とした集客プロモーションだけでなく、地域の価値を高め、まちの魅力を伝えることで、住みたいと思える街づくりまでクライアントに提案してきました。
カスタマーからすれば「住む」と「暮らす」は密接に関わっているもの。領域の壁に捉われず、本当に重視すべきものを意思決定の軸としてもらうことで、カスタマー、クライアント、そして地域の住民からも喜ばれるプロモーションを行うことができました。この経験から、他の業界の大きな課題に対しても、同じことが自分たちならできるのではないかと考えました」。
社会を変えるカギは「共創」
同チームは、2016年度に総務省と「都市の魅力向上プロジェクト※1」をスタートした。これは、「オープンデータ活用による街のイメージ向上」をテーマに、地方公共団体が保有するデータのオープン化、および活用の促進を目指す取り組みだ。
「地方公共団体には、オープン化することの有用性や、どのようなデータを提供してよいか分からないという課題がありました。それに対し、オープンデータ化促進における意識醸成を目的としたシンポジウムの開催や、実際にデータをオープン化する上での情報収集、整理のスキル装着を目的としたワークショップを開催、約100名の方にご参加いただきました。
このプロジェクトは、総務省、地方公共団体、そして我々民間企業が三位一体となり、計150名以上の関係者で成り立っています。社会の仕組みや、固定概念を覆し、イノベーションを起こすことは容易ではありません。しかし、立場が異なるステークホルダー同士が共創し合い、同じ未来を描くことで実現できる世界があると信じています。我々がそのきっかけを担える存在になれれば嬉しいです」(竹内さん)。
昨年3月には東京都国分寺市で「こくベジプロジェクト」もスタート。約300年前から作られている「国分寺野菜」の素晴らしさを市内外へ伝え、興味関心を持ってもらうこと。そして、現地の22カ所の飲食店が考案した、国分寺野菜を使ったオリジナルメニューをプロモーションすることで、市外からも人を呼び込み、市内消費を促進、地域活性化を目指す取り組みだ。
「まず国分寺の魅力を探るワークショップから始まり、リクルートのメディアも駆使し、国分寺の魅力を市外へも伝え、観光客の獲得を図っています。今後も名物マルシェの開催や子どもが野菜を食べることができるスペースの設置を予定しており、行政と外部の民間企業だけで完結する取り組みではなく、地域の人自身が何を望んでいるか、を一番大切にしています。地域、住民、そして企業のハブ役になれたらと思っています」とプロデューサー西村宏貴さんは話す。
「私たちは、"個(こ)・動(うご)く"と書いて"広告"だと考えています。クライアントやカスタマーとの接点を強化し、常にどこにいる、どんな個を動かすのかを意識しています。そして、導き出したソリューションが、地域や社会に根付き、継続的な文化の創出に繋がるように心がけています。全ては、カスタマー1人ひとりの願いを実現すること。我々はそのひとつひとつに日々チャレンジしています」(中村さん)。