私的に好き、でいいのかも。
オタク気質じゃないことが、コンプレックスです。何の疑いもなく好きな物をまっすぐに好きと言えて、熱く語れる人はかっこいいし羨ましい。かたや自分には趣味らしい趣味もなく、推しらしい推しも特にない。「いちばん好きな◯◯」みたいな質問に答えることにも苦痛を感じて生きてきたので、コピーを3つ選んでよい今回は、いくらか気持ちが楽でした。
J-WAVE/1996年
◯C/関一行
東日本旅客鉄道/1999年
◯C/一倉宏
ジェイアール東日本企画/1996年
◯C/星大、岡康道
突然、営業局から転局してきてコピーライターを名乗り始めたポンコツを、手取り足取り、厳しくも優しく、多くの先輩方が一からコピーの書き方を教えてくれました。その方々がいなかったら今の僕は絶対に存在していないし、広告業界にいたかすら怪しいものです。
まだ営業局にいた僕は、想像していた広告会社で働く自分と現実の自分のギャップを埋められず、悶々としていました。そんな時に社内で見かけた僕の師匠、関一行さんのコピー「ROMANTIC HIGH」。このポスターのかっこよさに憧れて、どうしてもクリエイティブへ行きたいと思うきっかけになりました。
ロマンティックなんて恥ずかしい言葉を、ちっとも恥ずかしくないものに変えてしまうマジック。師匠としては鬼ですが、仕事を離れればこのコピーのようにロマンティックでかっこいい人です。
さて、その後、なんとか転局できたものの、コピーライターとは名ばかり。そんな駆け出しの僕に友人から世にも恐ろしい依頼が。「こんど結婚するから、その案内状のコピー書いてよ。あのスキーのCMみたいなコピーがいいなぁ」。気楽に言われたそのコピーこそ、一倉宏さんの名作、「愛に雪、恋を白。」ウルトラ超絶技巧です ...