IDEA AND CREATIVITY
クリエイティブの専門メディア

楓セビルのアメリカンクリエイティビティ NOW!

全米のアーティストによる『何がアメリカを偉大にしているの?』キャンペーン

楓セビル

まだ数週間しか経っていないのに、トランプ政権はさまざまな波風を立てている。相手を見下した傲慢な態度、絶えまなく続く事実に反する発言、女性蔑視、人種偏見などが仄見えるスピーチなど、「これからどうなるのか!?」という不安が誰の心にもある。2月3日に発表されたCNN/ORCの世論調査にもその事実が顔を出していて、53%のアメリカ人がトランプ大統領の仕事の仕方に不満を感じていると報告している。

大統領に就任してこんなに短い間に、国民の半分以上が不満を感じるという調査結果は、米国史上初めてである。エグゼクティブ・オーダーという名の下に、イスラム教を国教とする7カ国からの旅行者を90日間、入国拒否した処置には、53%の米国人がデモやTwitterを通して、強い反対を示した。

Brixton Doyle「Justice」

Juana Medina「plurality」

Vikram Nongmaithem「Love and Compassion」

Andrew Martin 「Freedom of Speech」

Christine Lathrop「Religious Freedom」

アーティストたちが立ち上がった

トランプが民主党を支持した54%のアメリカ人の期待を裏切って大統領に当選した時、民主党を支持していた主に米国の西海岸と東海岸の住人たちは、強い失望と危惧、不安とフラストレーションを感じた。

サンフランシスコのデザイン・ブティックであるクリエイティブ・アクション・ネットワーク(以下 CAN)にも、トランプが当選したニュースが流れた直後より、コミュニティのアーティストの多くから、「どうするのだ?」「何か我々にできることはないか?」「トランプ政権に対抗する方法は何か?」などのメッセージが殺到したと、同社創始者の一人マックス・スラブキンは言う。

CANは、2008年オバマ大統領が大統領選挙に出馬した時、アーティストShepard Faireyが描いたオバマのポスターが全米いたるところに掲出されたのを見て、アレックス・スラブキンとアーロン・フェリー・ザッカーの2人が、世界各国のデザイナー、アーティスト、詩人、アートディレクターなどに呼びかけ設立した会社。

キャッチフレーズは"目的のあるアート"。それ以来、会社創設のきっかけとなった「Design for Obama」の他にも、「Climate Victory」(天候異変を克服する)、「The Gun Show」、「We Can Do It」(フェミニズム運動)など、いくつかの有名なキャンペーンを手がけている。

メンバーからのトランプ政権に対する不安と怒り、失望と焦燥が高まっている最中に、NBCテレビで、有名な政治風刺コメディアンジョン・スチュアートのインタビューが行われた。そのインタビューで、スチュアートは「トランプは選挙運動の時から"アメリカを再び偉大な国にする"と豪語しているが、アメリカを偉大な国にしているのが何かについては、一言の説明もない」と発言した。

スラブキンも、アーティストたちも「これだ!」と直感した。そして生まれたのが、「What Makes America Great ?」(何がアメリカを偉大にしているのか?)というキャンペーンである。それを解き明かすことで、トランプの言葉と行動とが裏腹であることを証明できるのではないかと考えたのだ。

キャンペーンは、トランプの大統領就任式の日(1月20日)から始まった。100日間、毎日1枚ずつ、アメリカを偉大な国にしている理由をテーマにしたポスターやアートワークをCANのWebサイトに掲載していく。つまり、世界中の100人のアーティストが描いた100枚のアートワークで、米国を偉大な国にしている理由を語ろうというのである。

「ただ怒りにまかせて怒鳴るというのではなく、不安な思いでいる人たち暗い会話を、多少とも明るいものにできればと思った」と、スラブキンは言う。エラ・ルナ、ニコラス・スミス、最近ワシントンで行われた「Women’s March on Washington」(女性のためのマーチ)のポスターに選ばれた「Hear Our Voice!」(私たちの声を聞け!)の作家リザ・ドノバンなど、よく知られたアーティストがずらりと名を連ねている。

1990年にアルゼンチンから移民として米国に渡ってきたルイス・プラドもその一人。彼はアメリカの自由な空気の中でデザイナーとして活躍してきた。「私は移民。米国の素晴らしさは、弱いものいじめする人間に立ち上がって交戦すること。中近東からの人たちを空港から一歩も入れないという今度のトランプの扱いも、一種の弱いものいじめ。こんな態度には、みんなで立ち上がる必要がある」と言う。

彼の描いたポスターは、金髪の頭に赤い野球帽をかぶったトランプに、握りこぶしをふっている手。アーティストの気持ちがにじみ出たデザインだ ...

あと51%

この記事は有料会員限定です。購読お申込みで続きをお読みいただけます。

楓セビルのアメリカンクリエイティビティ NOW! の記事一覧

全米のアーティストによる『何がアメリカを偉大にしているの?』キャンペーン(この記事です)
心身ともに健康になる『ウエルネス・トラベル』のブーム
クリスマス向けアルコール広告に政治が顔を出し始めた
古くて新しいスーパー・シニア・マーケティング
人間らしさを取り戻すデジタル・デトックスのキャンプ

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
ブレーンTopへ戻る