映像クリエイターのためのコミュニティイベント「チャレンジャーde ないと」第5回のゲストは関根光才監督。カンヌライオンズやD&ADなど、数々の国際的なクリエイティブアワードで受賞経験を持ち、近年ではメッセージ性の強い自主制作作品にも精力的に取り組んでいる。その作品の背景にあるビジョンを語ってもらった。
アドフェストの受賞が最初の転機に
僕は大学では、哲学科で学びました。その頃アメリカへ留学する機会があり、そこで写真を勉強し、フィルムの魅力に取りつかれたんです。帰国後はフィルムで映像を撮りたいと思っていたのですが、当時はデジタルへのシフトが進み、フィルムで撮っているのはCMと一部の映画ぐらいで。それでもフィルムを回したくて、卒業後はCMプロダクションのスプーンに入りました。
配属された部署は制作部。制作部はスケジュールやお金、スタッフィングなどの進行を管理する部署だったので、「自分がやりたいのは監督だ」と気づき、演出部のあるハットに移籍することにしました。とはいえ、移籍してもすぐ監督になれるわけではありません。1本のCMを撮れるようになるまでには、どうやら5~6年かかると知りました。
「5年は長すぎる」と思っていた矢先、あるチャンスが訪れ …