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デザインプロジェクトの現在

過去と現代をつなぎ、再定義する試み

川島蓉子

舘鼻則孝さんとお会いしたのは、ある書籍のイベントでのこと。レディー・ガガが身に着けて話題になった『ヒールレスシューズ=超厚底でヒールなしの靴』の作者と知って驚いた。その後、ファッションに限らず、伝統工芸と関わったアートの制作や、海外での文楽公演など、舘鼻さんの仕事の領域は広がっている。最近の活動を聞きに行った。

死から生を実感するアート作品

Photo by GION

旧細川伯爵邸和敬塾で行れた1日限りの展覧会「舘鼻則孝:面目と続行」。
Photo by GION

舘鼻さんは、東京藝術大学の工芸科で染織を専攻し、キモノや下駄の制作をしながら、「ファッションを究めるために海外へ留学」と考えていた。しかし「自分のオリジンはどこにあるか」と考えた時、日本が浮かび上がってきたという。

大学の卒業制作で花魁のキモノや下駄を研究し、『ヒールレスシューズ』に行き着いた。「花魁が履く高下駄は、最高峰であることの証左。それを象徴的なモチーフとして表現した」(舘鼻さん)。それがレディー・ガガの目に留まり、一躍脚光を浴びることに――あれだけの評判になると、「〇〇の舘鼻さん」という評価が邪魔をし、その後の道を阻むことになりかねない。しかし舘鼻さんは次のステップへと歩み出た。と言っても基軸は変わらない。日本のルーツである伝統工芸に根ざしたアート作品を作り始めたのだ。

2015年12月9日、旧細川伯爵邸和敬塾で1日限りの展覧会「舘鼻則孝:面目と続行」が開催された。そこで披露された作品のひとつが『Traces of a Continuing History』(2015)。舘鼻さん自身の身体をスキャンして、骨格を取り出して3Dモデリングしたものだ。座禅を組んだ自分の骸骨を、富山県高岡市の職人と組み、真鍮の鋳物に仕立てた。「これはセルフポートレイトであり、仏像としても成り立つ存在」(舘鼻さん)。

なぜ骸骨にしたのか――「死の姿を目の当たりにすることで、逆に生を実感できるのでは」という問いかけが、その根底にある。手仕事で磨き上げた真鍮がたたえる光といい ...

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