一般の人が考えたCMのアイデアをHKT48や欅坂46というトップアイドルの出演で実現するという、ファンにとっては夢のような企画「つぶやきCMグランプリ」。前例のない企画を実現するための企画書やプレゼンはどのようなものだったのか。
アイドルのパワーで「ガムを売る企画」を考えよ
「HKT48 VS 欅坂46 つぶやきCMグランプリ」は、ロッテのガム商品のプロモーションとして2016年10月に開始した参加型企画。特設サイトにアップされた「CMのお題」から好きなものを選択し、HKT48もしくは欅坂46のメンバーが出演するCMのアイデアをTwitterで投稿すると、審査を通過した案がプロの手で映像化されるというものだ。その間、わずか数日間。さらに、その中からグランプリに選ばれたCMは地上波でも流される。このような前例のないプロジェクトを実現させた「企画書」とはどんなものだったのか?
この企画を開発・プレゼンしたのは、2015年から引き続きロッテのガムのキャンペーンを担う電通チームだ。そのミッションは、ガム市場を活性化させること。「つぶやきCMグランプリ」のアイデアのきっかけのひとつは、2015年度の施策の締めくくりに武道館で行われたロッテ・ソニー・ミュージックレーベルズ共催イベント「GUM ROCK FES.」だったという。HKT48と乃木坂46の「ライブ対決」で盛り上がる会場を見て、電通 コミュニケーションデザイナー仁藤安久さんは「やっぱりアイドルの力はすごい、これを使わない手はない、と実感しました」と話す。2016年度も引き続きHKT48らに協力を得られることが決まっていたため、「HKTを含めたアイドルのパワーをレバレッジし、世の中のガムへの興味関心を高めていく」を新たな方針にした。
もうひとつ、前年のキャンペーンに関わったプランニングメンバー全員の“ガム消費量”が増えたことも企画のヒントになった。「“プランナーあるある”なんですが、担当になると商品のいいところを探すようになり、その結果、自然に商品を手に取る回数も増えていってしまう現象があります。これを企画にできないかと考えました」(仁藤さん)。CMの送り手が“商品のよさ”を考えた結果を一方的に伝えるのではなく、むしろ考える過程に参加してもらおうというアイデアである。
こうして生まれたのが「アイドルが出演するガムのCM制作に誰でも参加できる」アイデアだ。アイドルファンたちが「自分が考えたCM企画に好きなアイドルを出演させたい」と考えるうちに、ガムも好きになるという狙いだ。初期段階の企画書には、ジェネレーターで選択肢を選んでいくだけでCM映像が自動生成される案や …