アイデアとは新しい組み合わせである
『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)を初めて手にしたのは、美大受験の予備校に通っていたとき。同じ予備校で尊敬していた友人に。この本いいよ」と薦められたのがきっかけです。その友だちはアートやデザインに詳しいだけではなく、流行の半歩先を颯爽と走っているような人。感度が高く知的で、今から30年以上前に「デザインは表層的なものではなく、経済も動かす」といった話をしていたほどです。そんな友人がすすめるなら間違いないだろうと、買ってみました。
デザインの見方
幼稚園の頃、地元のサッカークラブに入りました。強いチームで、小学生になるとほぼ毎日練習だった上に土日も試合。サッカー三昧の毎日でした。その頃の楽しみは、毎月、親に買ってもらう『サッカーマガジン』と『サッカーダイジェスト』。特に付録のポスターが楽しみでした。ディエゴ・マラドーナやルート・フリットなど、好きな選手のポスターが付いてくると嬉しくて、次々と子ども部屋の壁や天井に貼っていました。憧れの選手のポスターを眺めながら、自分も彼らのようなプロのサッカー選手になりたいと、胸を高鳴らせていたのを思い出します。
当時のポスターをあらためて見ると、どれもプレー中の選手の写真をそのままレイアウトしただけ。よく言えば極めてシンプルです。文字情報もチーム名と名前のみで、そこに特別なデザインはありません。それでも、見る人に感動を与えることができたのは …