4年目を迎えた「ものづくり産地の祭典」の新展開
今年の10月に4年目を迎える、新潟県 三条市のイベント「燕三条 工場の祭典」。今年は金属加工の「工場」に加えて、農業の「耕場」が加わりパワーアップしている。全体監修を行うmethod 山田遊さんとアートディレクションを担当した一人、SPREADの小林弘和さんに話を聞いた。
地域の可能性を引き出すクリエイティブ
34歳の町長とMTDOのデザイナー 田子學さんがタッグを組んで地域再生に挑んでいる京都 与謝野町。2015年5月にクリエイティブディレクターに就任してから1 年強。与謝野町には、どんな変化があったのだろうか。
与謝野町では昨年12月に、町民や関係者を対象とした与謝野ブランド戦略シンポジウムを開催した。ブランド戦略のコンセプト「みえるまち」が発表され、進行中の「阿蘇ベイエリア活性化マスタープラン」の中間報告が行われた。
コンセプト「みえるまち」は、昨年から進行中のホップの試験栽培を行う「クラフトビール醸造事業」、「阿蘇ベイエリア活性化マスタープラン」、ものづくりの担い手を動画で配信する「織りなす人」など進行中の各プロジェクトの上位概念として位置づけられるものだ。
与謝野町では3つの「みえる」を掲げている。1つ目は「安心・安全がみえる」。与謝野町は特Aランクの米づくりが行われるなど農業も盛んだが、その元となる肥料の原材料(魚あら、おから、米ぬかなど)も地域産でまかなえることに特徴がある。トレーサビリティが担保できる産地であることは、今後TPPを踏まえた国際競争力の強化を図っていく上でも大切に守るべき点だ。2つ目は「個性がみえる」。職人をはじめものづくりを担う与謝野町の人々は、与謝野町のブランドのいしずえ。彼らを輝かせる環境づくり、情報発信を行っていく。3つ目は「もてなしがみえる」。与謝野ブランドを発信することで、今後この地を訪れたいと考える人は増えていくはず。そのとき、来てくれた人をもてなす場として与謝野町をどう再構築していくか。その中心拠点として阿蘇ベイエリアを位置付けている。
「阿蘇海は景観の美しさで知られていますが、これまで海に入って遊ぶ人はほとんどいませんでした。なぜなら、立ち入りを阻む柵で囲われていたからです。私たちはせっかくの海にふたをしてしまっていたんです。しかし、この秋からはSUPやカヤックが事業化されたり、近接する公園に新たにキャンプエリアが試験的に開放されたりと、海で遊べる体制が整いつつあります。海で遊ぶようになれば、海の保全に意識が行き、海に流れ込む川に …