編集部が街で気になった様々なデザイン
BOOK
尾崎世界観『祐介』(文藝春秋)
- 装幀:寄藤文平
人気ロックバンド「クリープハイプ」のボーカル 尾崎世界観さんの自伝的小説の装幀は、蛍光ピンクの地に「祐介」というタイトルのみ。装幀を手がけた寄藤文平さんは、尾崎さんと話しながら「肉みたいな色の本にしよう」という方針を見つけた。「読後の印象は、体育館で転んで擦りむいたときに、じわっと血が滲んだときのような肌色。小説の中で起きていることはシビアだけれど、主人公にどこか明るさがある。でも、ひまわりみたいな明るさではなくて、ヒリヒリした生々しい明るさだと感じました」。その印象から選んだ色が、蛍光ピンクだ。ラフの時、絵の具でつくった色がベースになっている。蛍光色は退色する特性があるため、印刷時に耐光性の黄色を混ぜて、この色が完成した。
タイトルの書体は角度のルールだけ決めて、直線でつくりこんだもの。「活字だと真剣になりすぎるので、ポップさを出したかった」という。厳密に計算せずに、その文字を感覚的に表紙に配置している。「尾崎さんにとって最初の作品であり、二度と書くことができない内容。だから、唯一無二の本にしたいと思いました」という言葉通り、店頭で他にはない存在感を放っている。
CD
高橋優『光の破片』(ワーナーミュージック)
- AD:すき あいたい ヤバい
- ST:笹川陽介
- HM:内山多加子
シンガーソングライター 高橋優さんの最新シングル「光の破片」は、万華鏡の中に見える石を人間模様にたとえ、形がいびつでも、色が違っても、その中で一つになると美しく見えることをメッセージしている。その歌詞を体現するべく制作されたのが …