「がんばる母さんやめました」自分らしさを探る「卒母」の考え方
『卒母のためにやってみた50のこと』(大和書房)という本に出会い、ページを繰り出したら止まらない。手書きの文字とイラストで構成されているたたずまいもユニーク――著者でありグラフィックデザイナーの田中千絵さんに話を聞いた。
デザインプロジェクトの現在
南フランスのエクサンプロヴァンスにある「Domaine de Fontenille」は、18 世紀の古い屋敷を改装し、ホテル、スパ、ギャラリーに加え、ワイン醸造所まで併設された場。クラシックとモダンが融合した美しいデザインがなされている。
パリからTGVに乗って約2時間半、そこから車で1時間弱。山並みをのぞむ豊かな田園風景の中、「Domaine de Fontenille(以下 フォントニル)」の入り口が現れる。オープンしたのは昨年10 月というから、ちょうど1年が経とうとしているところだが、とてもそうは見えない。ずっと前からあったかのような佇まい――土地に寄り添っているのは、ぴかぴかの新品ではなく、200年以上前に造られた屋敷の躯体を生かした意味が大きい。
オーナーを務めているのは、パリでファッション関連の投資家として活躍しているFrederic Biousse(以下 フレデリック)さんと、マレ地区で複数のギャラリーを所有しているGuillaume Foucher(以下 ギョーム)さんの二人。パリで仕事をしているため、施設全体の管理・運営は、LaureHubschさんとLaurent Huit さん夫婦に任せている。案内してくれたのはLaureさんで、館内を巡って歩いた。玄関の間口は広くないのだが、奥に広々としたフランス式の庭が広がっているし、入り口のすぐ横には、土地を掘り下げて作ったワイン醸造所がある。訪れる前に想像していたレベルをはるかに越える規模と内容に驚かされた。若いスタッフが愉しげに、そしてキビキビと働いている姿も印象に残る。
特徴的なのは、いたるところにアートが ...