電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。本コーナーではさまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛けあわせることで、触って感じる新しいブックジャケットを提案していく。
本に没頭する感覚を紙の表面を拡大して表現
微粒なエンボスがカラフルな色合いと相まって独特の表情を生み出す竹尾のファインペーパー「サガンGA」。今年7 月、50 色6 連量の豊富なラインナップを持つ新商品として発売された。アートディレクターの上西祐理さんは、初見で「エンボスが面白い」と感じたという。その印象から生まれたのが今回のブックジャケット「CLOSEUP」だ。
ブックジャケットの表面に透明箔で押された模様は、実はサガンGA のテクスチャを拡大したもの。「本を読んでいるとき、内容に没頭すると、やがて文字が視界いっぱいに広がるような感覚を覚えませんか?このブックジャケットでは、読むほどに本の内容に入り込み、本との距離が近くなる感覚を、紙のテクスチャを拡大することで表現しました」。
表紙と裏表紙で実は拡大率が変わっているのも、隠れたポイントになっている。読み終わった後の裏表紙の方が大きくなっており、読み終えたことで本の内容に一層入り込んでいるという一連の読書体験を表している。
色は、「シトロン」と「ライトグレー」の2 色を選択。色紙なので、色をよりストレートにキレイに見せたいと考え、あえて透明箔にして上品に浮き立たせた。
「サガンGA のカラーラインナップはいずれも鮮やかで軽やか、他の色紙にはない独自のラインナップになっているのが印象的でした。箔押しなどの加工は普段からよく使います。ホログラム紙にマットニス印刷で銅板のような効果をだしたり、暗い紙に透明のホログラム箔の加工をしたり。加工によって、“ 物” としての存在が際立って見えたり、印刷や加工が一つの“ 現象”を起こせるのが面白いんです。今回も、色紙と透明箔の出会いで、そうした効果を引き出すことに挑戦しています」。