2016年 カンヌ 日本の受賞は全部で49作品
パナソニック「Life is electric」をはじめ、デザイン部門は相変わらず強い日本。しかし、他の部門が厳しい結果となった。カモ井加工紙「MT」と資生堂「HIGH SCHOOL GIRL?メーク女子高生のヒミツ」はこれまでに数多く国際広告賞を数多く受賞しているが、今回も2部門以上で受賞。オーストラリア政府観光局「GIGA selfie」も3部門での受賞となった。
カンヌライオンズに見る世界の広告2016
今年、カンヌライオンズに参加した人たちは、そこで何を得たのだろうか。参加者11名に2つの質問に答えてもらった。
今年のカンヌで、あなたが見つけた、これからの広告の「キーワード」を教えてください。
カンヌで一番気になった作品を教えてください
坂本陽児(さかもと・ようじ)
電通 クリエーティブ・ディレクター
Dumb ways to die にSound of Honda。ほんの数年前まで、ひとつのキャンペーンが部門の枠を超えてトロフィーを独占することが結構ありましたが、今年は自然な形で審査員の出自や部門ごとの審査基準がばらついていて、真の意味で「広告祭」から「クリエーティブ祭」へと進化した気がしたので。
腕を骨折した子どもたちのギブスに、彼らの腕のレントゲン写真を貼付。スーパーのレジでそれをピッと通すと反応し、Anchorのカルシウムたっぷり牛乳がタダでもらえるというキャンペーン。「強い骨を作る牛乳」というメッセージと忘れられないブランド体験にキレイに落ちているので好きです
徳久真也(とくひさ・しんや)
博報堂 生活者データマネジメントプラットフォーム局 DMP開発部 部長
クリエイティビティはついに無意識の領域に迫ってきた。Alpha-Go やThe Next Rembrandt は、人間が知覚できない無意識の領域(直感・勘・センス・ひらめき・才能・自我等)に踏み込んでいる。意識可能なアイデアや枠組みは人間が作り、アウトプットは無意識的に機械に任せる。人間と機械のコラボ作品がこれからの広告の新しい地平を開く予感がする。
データとクリエイティビティの両方を高度に融合させた作品。クリエイティブデータ部門初代グランプリにふさわしい。ただデータのど真ん中ではない。今後はマーケティングデータとクリエイティビティの融合に期待。
石井義樹(いしい・よしき)
キラメキ 代表取締役社長 / プロデューサー
2016 年はSocial Good よりも、どれだけ広告として物が売れたのか、企業の広告としてワークしたかという視点で選ばれていたように思います。それはすなわち広告としての原点であり、ビジネスの中でワークした広告が結果的にSocial Goodになる、という順番になったという印象でした。SocialGoodが第一に来るというここ数年の流れが変わったように思えましたが、2017 年がその方向で続くのかどうかでしょうね。
なぜこれがフィルム部門のグランプリなのか、特に日本のみなさんは疑問に感じていた方が多いと思います。音楽やアニメーション、編集、コピーがいいなどと言われ、あの老舗百貨店のHARVEY NICHOLSがとか、テレビやシネアドやWebで展開されたから、などいろんな理由はわかりますが、正直に言うといまだにピンと来ていません。
高田聡子(たかだ・さとこ)
マッキャンエリクソン クリエイティブディレクター
この言葉を聞かない日はないほど、あちこちで議論されていました。日本語に訳しにくいのですが、私自身は”ブランドの最も正直な部分、根源的な存在理由”と理解しています。クリエイティブアイデアだけでなく、ビジネスを根底から揺さぶるようなたくらみでないと、世界で評価されるのは難しいのかもしれません。
(1)現実を共有するためのツールという、新しいVRの使い方が提案されていたから。(2)ネイティブアドを専門に制作するT Brand Studio が、とんでもなく進化していたから。
増田総成(ますだ・ふさなり)
ADK アートディレクター
McWhopper、MANBOOBS、のように、VRやAIといった新たなテクノロジー以前に、アイデアに多少やりすぎた部分があっても、ハードルを下げず、クリエイターとクライアントがタッグを組んで人の心の奥に届くものを建設的に実現までこぎつける。まずは本気でやり切ることの重要性を感じた。
80%の野菜と20%のトッピングとの組み合わせで食を提案するブランディングデザイン。各食材を簡略化したアイコンで表現し、2:8の比率で組み合わせられる仕組みは …