2016年 カンヌ 日本の受賞は全部で49作品
パナソニック「Life is electric」をはじめ、デザイン部門は相変わらず強い日本。しかし、他の部門が厳しい結果となった。カモ井加工紙「MT」と資生堂「HIGH SCHOOL GIRL?メーク女子高生のヒミツ」はこれまでに数多く国際広告賞を数多く受賞しているが、今回も2部門以上で受賞。オーストラリア政府観光局「GIGA selfie」も3部門での受賞となった。
カンヌライオンズに見る世界の広告2016
全世界から集まるクリエイティブ。各部門の審査員たちは、それぞれ審査基準を設け、細かく審査を行う。2016年、その頂点に立ったのは、どんな作品なのか。グランプリ作品を中心に審査員の講評とあわせて見ていこう。
プロモ&アクティベーション部門・チタニウム部門グランプリ
REI「♯OptOutside」Venables Bell&Partners San Francisco(アメリカ)
スポーツ用品小売りチェーンREIは、アメリカで11月の第4木曜日に行われる感謝祭翌日の大規模セール「ブラック・フライデー」に、全146店鋪の営業をしないことを発表。そして、「ブラック・フライデーには買い物をしないで、アウトドアを楽しもう(OptOutside)」というメッセージを発信した。一番売れる日に「売らない」という、REIの企業姿勢、そして勇気ある行動が高く評価された。150以上の企業がREIの動きに追従するなど、大きなムーブメントに発展した。
ダイレクト部門グランプリ
Swedish Tourist Association「The Swedish Number」INGO Stockholm(スウェーデン)
スウェーデンの政府観光局は、世界初となるスウェーデンの“ 国直通番号” を取得。世界中からこの番号にコールがあると、国内の「スウェーデン大使」にランダムに転送され、電話を取った人がスウェーデンについて自由に語ってくれるという大胆な施策。大使への事前登録は、専用サイトに自分の電話番号を登録するだけ。同国では、2012年にもTwitterアカウント「@Sweden」を使ってスウェーデン国民がスウェーデンのよさを発信できるキャンペーン「Curators of Sweden」にて、サイバー部門グランプリを受賞している。
プロモ&アクティベーション部門 細田高広(TBWA\HAKUHODO)
ダイレクト部門 志水雅子(博報堂)
細田▶ 日本を含め、アジアの受賞がすごく少ない年になりました。個人的には審査にフラストレーションがあったことは否めません。確かにプロモ&アクティベーションの審査員で、アジア人は僕一人で不利だったのかもしれません。しかしそれ以上に大きな原因は、日本のプロモ&アクティベーションの考え方が遅れていることです。日本でプロモ&アクティベーション部門は少額の予算や小手先のアイデアでも獲れるカテゴリーとしてとらえられている節があります。しかし、今年のテーマはインパクト …