THE ONE SHOW2016レポート
カンヌライオンズ、クリオ賞と並ぶ、世界三大広告賞の一つ、THE ONE SHOW。『ブレーン』は今年、THE ONE SHOWとメディアパートナーを提携したことを機にニューヨークで取材を敢行しました。同賞のクリエイティブボードメンバーであるPARTY 伊藤直樹さんとともに審査員、そしてボードメンバーを訪問。いま彼らがどんなことを考え、新たなるクリエイティビティを生み出しているのか。その組織のあり方とともに考えます。
THE ONE SHOW 2016 レポート
ワシントンを拠点とするDESIGN ARMYのクリエイティブディレクターPUMさんは、ONE SHOWのボードメンバーの一人。タイで育ち、アメリカでデザイナーとしてのキャリアを切り開いてきたPUMさんに日本のデザインについて、そして自身のデザインに対する考え方を聞いた。
今回、ONE SHOWで日本の作品がたくさん入賞しました。日本のデザインは世界トップクラスで、デザインカルチャーそのものが世界一だと思います。デザインへの情熱、ディテールへのこだわり、そして革新的な考え方においても群を抜いています。私はONE SHOWやカンヌライオンズなど、さまざまなアワードで審査を行っていますが、日本のデザインのシンプルさ、エレガントさに心を奪われる機会が多々あります。デザインの質に関しても同様で、クラフトマンシップのレベルがとにかく高い。デジタルに注目が集まるなか、日本のデザインは印刷広告やパッケージングにもこだわっています。例えば、紙の材質や形、消費者がどのようにモノに関与するのかというところに重点を置いているのが日本のデザインの特徴ですね。ONE SHOWで10年以上前の日本のデザインを見ても色あせた印象が全くないので、時代を超えた魅力があり、永続的に継承される力を持っているのではないでしょうか。
今回のONE SHOWで私の記憶に最も残った作品は、BEST IN DESIGNを受賞した「なまえのないえのぐ」です。青と黄色が交わって緑になるというシンプルかつ画期的なアイデアでした。このようにクリーンで明瞭なデザインを実現できるのは日本人だけだと思います。
その理由は、デザイナーが育った気候や文化 …