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感じるブックジャケット(PR)

時の経過を表す紙に、現代的な印象の印刷を掛け合わせて対比を生む

川上恵莉子

電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。さまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛けあわせることで、触って感じる新しいブックカバーを提案していく。

01 ブックジャケット使用例

「前に読んだ本を久しぶりに開いたとき、その印象が変わって感じることがあるんです。見たり聞いたりすることが、自分の変化と同じだけ変わる。その驚きは仕事や生活の延長でも感じています。そういう、いま自分が感じていること、自分の中に持つイメージや、気にかかったことを大切にして表現していきたい。そういう思いで制作しました」。今回デザインを手がけたのは、ドラフトの川上恵莉子さん。若手ホープとして、企業のブランディングやパッケージデザイン、自社プロダクト D-BROSなどを手がけている。

右側の絵は、2006年、「マッチ箱からできる文字」をテーマに東京藝術大学の卒業制作として川上さんが作ったタイポグラフィ。一方、左側にある絵は10年後の今年に同一テーマで制作したグラフィックデザイン。

「2006年は、とにかく表現する方法を探していました。2016年は、仕事をする中でいろいろな影響を受けて、どのように作るかというよりは、何を作るかというふうに、デザインに対する目的や考え方が変わってきたように感じています」。

使用した紙は、ファーストヴィンテージ。“年代物”の意を冠したカラークラフトペーパーを使用することで“時の経過”を表現した。「クラシックな質感と色合いの紙に蛍光ピンクという現代的な印象の印刷手法を掛け合わせることで対比が生まれる。その意外性を狙いました」。

より鮮やかな蛍光ピンク色にするため二度刷りし、赤と白の箔を押した。ファーストヴィンテージ12色の中から数色を試し、イメージに近いアッシュを選択。2016年のマッチ箱に印字された文字の部分は、蛍光インキの上から白箔を重ねたところ、絶妙な透け感が表れている。

「誰かから借りてきた言葉や感覚ではなく、いま自分が感じることを大切にする。使われる方がさまざまに思いを巡らせていただけたら、うれしく思います」。

02 喫茶店のグラフィックデザイン「TEA VENIR」


03 真鍮をつかったプロダクト「Tabar」



川上恵莉子(かわかみ・えりこ)氏
1982年東京生まれ。2006年東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。2008年ドラフト入社。主な仕事に、丸松製茶場「san grams」、がまぐち専門店「ぽっちり」、自社プロダクト「D-BROS」など。2013年JAGDA賞受賞。2015年ADC賞受賞。2016年JAGDA新人賞受賞。

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