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デザインとは 創造と想像の深さや幅―ミラノサローネ2016レポート

4月に行われたミラノサローネ国際家具見本市を取材した。景気やテロの影響があるのではと心配したが、37万人を越える来場者があり、街を挙げての賑わいぶりは健在。日本からの出展者も、高い評価を得ていた。

「Amorphous(アモルファス)」というコンセプトの下、従来のガラスのイメージを覆す「軽やかで、自由で、表情豊か」なガラスの未来を同社の薄板化学強化ガラスで表現した。

Photo: Akihide Mishima

製品の世界観をデザインで表現する

世界最大規模のインテリア家具の見本市が、ミラノサローネ国際家具見本市(以下、サローネ)。BtoBビジネスの場なのだが、それに留まらず、世界中から出展する企業が、デザインの力でブランドの世界観を表現する。商材としての家具やプロダクトだけでなく、提案そのものにしのぎを削るのだ。「デザインの祭典」と呼ばれる所以はここにある、と訪れる度に感じさせられる。一方、世界中から集まってくるジャーナリストやバイヤーによって、即座に評価がくだされる場でもある。楽しくも厳しい競演が繰り広げられ、街全体にワクワクした空気がみなぎっている。デザインのエネルギーみたいなものが充ち満ちている。

AGC旭硝子は、昨年に続いて2年目の出展。薄板化学強化ガラス「Dragontrail(ドラゴントレイル)」を主役に、ユニークなインスタレーションを発表した。クリエイションに携わったのは、デザインファームNOSIGNERの代表を務める太刀川瑛弼さん。強度処理によって、傷がつきにくく割れにくい特性を持った「ドラゴントレイル」は、スマートフォンやタブレットのカバーとしても重用されている。製品の持っている高質な機能性に対して、「ガラスが持っている根源的な美しさを表現したい」と太刀川さんは考えた。そしてガラスの分子構造「アモルファス」を10億倍に拡大した、ガラス製の巨大な分子構造模型を作ったのだ。約10m×4mの空間に、無数のガラス片で形作られたオブジェが浮いている。移ろいゆく光と音楽に彩られ、分子構造体をかたどったオブジェが息づいているよう――展示物の美点を引き立てる光をデザインしたのは、ライティングデザイナーの岡安泉さん。サローネの常連と言っていいほど、多くのインスタレーションを手がける逸材だ。

このオブジェと光と音の総体が、ガラスの分子構造と知らされると、毎日触れているスマートフォンのガラス面に、美しい構造体が宿っていると思いが及ぶ。製品の特性やルーツを表現することで、見る人の心を動かす展示と感心させられた。

「布の森を巡るような」経験を提案

デンマークのテキスタイルブランド「Kvadrat(クヴァドラ)」は、皆川明さんがデザインした空間で、同氏と創ったインテリアテキスタイルを発表した。「クヴァドラ」は1968年創業で、家具用の張地やカーテンを手がける企業。同社の張地を使うことで家具メーカーの格が上がると仰ぎ見られているブランドのひとつだ。「クヴァドラ」と皆川さんが組むことで、どんな世界が繰り広げられるのか、興味津々で訪れた。迎えてくれたのは ...

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