クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に生かしているのか。第87回目は、グラフィックデザイナー・アーティストの永戸鉄也さんに、仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。
『Les Diners de Gala(ガラの晩餐)』
Salvador Dal(i 著)(Felicie, Inc.)
小学生の時、美術の教科書の中で出会って以来、唯一のヒーロー、師匠だと勝手に崇めているダリが1973年、69歳の時に出版した料理をテーマにした貴重な作品集。序文に、この『ガラの晩餐』のレシピは味覚の快楽のためだけにある、と書いてあるとおりに、食材や料理がテーマの各項目に沿った、独自の解釈で盛り付けられた料理写真、ドローイングとテキストで掲載されている。栄養バランスのよい食事などとは全く関係のない、ただ調理すること、盛り付けること、食べることで拡張した美意識を見せているのだと解釈している。
幼年期、料理人になりたかったダリ流のオリジナルメニューとパリ三ツ星レストランが提供した献立など、136点の料理で構成された一冊。“シュルレアリスト、ダリ”と“料理”という切り口でのブックデザインとその編集点をも楽しむことができる。
『不思議で美しい石の図鑑』
山田英春(著)(創元社)
フランスの批評家、ロジェ・カイヨワが著書『石が書く』の中でいうように …