広告界20代クリエイター座談会「会社も業種も超えていくような仕事がしたい!」
いま広告界は、未来を担う若手クリエイターたちの目にどのように映っているのだろう。世代別会議は、コピーライター、プランナーとアートディレクターによる20代5人のトークからスタート。この大きな変化の時期に広告界に入ってきた彼らは、広告の仕事に何を感じ、どんなやりがいを見出しながら、日々の仕事に取り組んでいるのか。
55周年特別企画 クリエイティブ未来会議
澤本嘉光さんからの声掛けがきっかけで、初めてラジオCM制作に挑戦したという、お笑い芸人のグランジ遠山大輔さんと五明拓弥さん。驚くべきことに、そのCMがフジサンケイグループ広告大賞 最優秀賞を受賞。さらにTCC新人賞も受賞した。“奇跡の受賞”の裏には、仕掛け人の澤本さんの「広告の作り手をもっと広げていきたい」という思いがあった。
澤本▶ 僕がグランジの2人にラジオCMを考えてほしいと依頼したのは、業界の人間だけで作っていると、広告が沈滞してしまうと思っているからです。そうしないために、異分子を入れてかきまわしたほうがいいと言い続けてきました。テレビCMは予算も大きく、いきなり実現するのはハードルが高い。その点、ラジオCMは言葉の才能があれば、参加しやすいものです。そもそもの始まりは、僕がACC賞のラジオ部門審査員長になって遠山さんに審査員に入ってもらったことでした。審査委員長になって以来、リスナーや雑誌の編集者など、これまでいなかった立場の人に審査委員をお願いしてきたのですが、しゃべり手の方にも入ってもらいたいと思って。10代のリスナーに人気のラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」の校長をしている遠山さんなら、若い人たちの視点も入れられるんじゃないかと。40代以上の人間は誰も知らないかもしれないけどね(笑)。
遠山▶ そこは書かないでいいですよ!(笑)
澤本▶ …という方なので、遠山さんに審査をしてほしいとお願いして。でも、意外と生放送中はラジオCMは聞いてないんだと話していましたよね。
遠山 ブースでもCMは流れてはいるんですけど、次にしゃべることを考えていたりするので、あまり注意して聞いていなくて。
澤本▶ ACC賞の審査も、10分か15分で終わると思っていたと(笑)。実際はまる2日カンヅメなんですけど、まとめて聴いてもらったら面白がってくれて。で、聴き終わったあとで「これ、俺でも全然書けますね」と。
五明▶ よっ、さすがカリスマ校長!
遠山▶ ちょっと待って!そんな言い方はしてないですよ!僕は芸人なので、自分たちでもネタを書いて、演出をして、人前に出る立場です。だから、芸人にももしかしたらできるかもしれない…みたいなことをちょっとお話させていただいたという。
澤本▶ でも、審査中も「なんでここでもっと早く突っ込まないんだろう?」とか、聞きながら言ってましたよね。それが印象に残ったんですよ。
遠山▶ もうちょっとここ食い気味で言ったらもっと面白くなるんじゃないか?みたいなことは考えてましたね。
澤本▶ つまり、僕ら広告の人間と審査している視点が違うんです。CMの原稿は面白いけど、食わなかったから面白くないと。「作られた劇みたいなものはつまらない」とも言っていて。それを聞いて、この人たちにラジオを書いてもらったら、僕らが書くのと違うものができるんじゃないかと思って。それで、東京ガスの方にお会いした時に「芸人の方々にラジオCMを書いてもらうのはどうでしょう」と話したら、面白がってくれて。ラジオCMのオリエンの場にお呼びしたというわけなんです。
男性:仕事を淡々とこなす毎日。
テレパシーとかそういう類のことは、信じないけど、
いつも気持ちが落ちてる時に限って、
田舎の母さんからメールが届く。
「仕事は、順調すか?」
「ちやんと、栄養あるごはん食べてまか?」
「最近さむくなてきたから、お風呂につかつて、からだあつためてくさい。」
「近いうちにかえて…」
男性:誤字脱字だらけのメールだけど、
僕の携帯に入っているどのメールよりもあたたかい。
今日は母さんの言うとおり、
お風呂つかつて、からだあつためよう。
NA:がんばるひとに、いいエネルギーを。東京ガス。
男性:あつたか~い。
夫:おい、なんで飯つくってねーんだよ!
妻:仕事終わり、いつも外で食べてくんだろが。
夫:昨日「外食控えろ」って言ったのそっちだろ。
妻:あんたの体が心配だからだろ。
夫:うーん。
妻:ほら、できたから、さっさと食べろよ。
夫:おい、ちょっと待てよ。これ枕?オムライスでかすぎだろ。
妻:そう言って、いつも全部食べるだろが。
夫:おいしいんだから仕方ねーだろ。
妻:んっ、ん~、ありがとう。
夫:じゃ、いただきまー …