田中研之輔『都市に刻む軌跡』
(新曜社)
表紙いっぱいに描かれた「軌跡」という文字。鉛筆で何重にも塗り重ねられた線には、手の痕跡が感じられる。本書は、社会学者田中研之輔さんによる、都市に住むスケートボーダーを対象としたエスノグラフィー調査・研究をまとめた学術書だ。「学術書ゆえに書店で平積みされず、アマゾンが販売の中心となることが当初からわかっていました。それであれば帯をつけないで、ネットやスマホで見たとき目立つものにしたいと考えました」と話すのは、ブックデザインを手がけた戸田宏一郎さん。田中さんとは友人であり、前作「丼家の経営」に続き2冊目のデザインになる。
本に登場するのは、スケートボーダーたち。彼らのインタビューから感じられる、ストリートで生きる若者たちが持つモヤモヤした気持ちを形にしたいと考えた。書体を決めた後、“軌跡”を本の原寸大でトレース。鉛筆でひたすら塗りつぶしていった。ニス引きだけのシンプルな加工で、あえてタイトルは小さくし、「軌跡」という文字が最大限に目立つようにした。通常、シンプルなデザインが多い学術書だが、その中で異彩を放つ本ができあがった。
ルミネ ゼロ
3月末に東京・新宿駅南口にオープンしたルミネによる新業態の複合商業施設「NEWoMan」。この施設内にオープンしたのが、「LUMINE0(ルミネ ゼロ)」だ。ここはファッションショー、展覧会、演劇などジャンルにとらわれず、さまざまな目的で使用できる多機能なイベントホールである。そのロゴは…