アイデアとは新しい組み合わせである
『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)を初めて手にしたのは、美大受験の予備校に通っていたとき。同じ予備校で尊敬していた友人に。この本いいよ」と薦められたのがきっかけです。その友だちはアートやデザインに詳しいだけではなく、流行の半歩先を颯爽と走っているような人。感度が高く知的で、今から30年以上前に「デザインは表層的なものではなく、経済も動かす」といった話をしていたほどです。そんな友人がすすめるなら間違いないだろうと、買ってみました。
デザインの見方
今から3年半ほど前、東京都現代美術館で開催された「MOTアニュアル2012 Making Situations,EditingLandscapes 風が吹けば桶屋が儲かる」展の広告を電車内で見かけました。作品のビジュアルはなく、文字だけで構成されたストイックなデザイン。立花文穂さんが手がけたものだとすぐに分かりました。もともと僕は、立花さんのデザインが好きで、それがきっかけとなり、展覧会を見に行くことにしました。
会場の入り口でA3サイズの展示概要を渡されました。それが、今回紹介するデザインです。ザラっとした質感の黄ばみがかった紙は片面に情報が印刷されています。入口にも無造作に積んでありました。手にした瞬間、目が釘付けになりました。これほど細部の細部にまでこだわった展示概要を見たことがなかったからです。熱の入れ方が半端ではない。立花さんらしい、と感動しました。
まず、見た目が美しい。そして、これまでの立花作品と同様に …