2015年7月にリリースした脳トレ・パズル『Brain Dots』が2000万DLを突破。サイバーエージェント出身の起業家が、企画力のあるエンジニア集団を組織し、立て続けにヒットを飛ばす。狙うは、世界70億人のマーケットだ。

01 脳トレゲームアプリ『Brain Dots』。ユーザーの9割以上が海外で、150ヵ国以上でプレイされている。
02 第1弾アプリとなる、対戦型の脳トレゲーム『Brain Wars』。さまざまなミニゲームが用意され、世界中のプレイヤーとスコアを競い合う。
「日々の雑談」が生むヒット企画
昨年末、Apple、Googleはそれぞれ2015年のベストゲーム・アプリを発表した。名だたる海外メーカーや大手企業のタイトルが並ぶ中、両社ともに選出したゲームが、創業2年のベンチャー、トランスリミットが開発した脳トレ・パズル『BrainDots(ブレインドッツ)』だ。
『Brain Dots』のルールは簡単。画面上を指でなぞって線を引き、2つのボールをぶつけたらステージクリア。2015年7月にリリースされ、今では2000万DL(ダウンロード)を超えている。
『Brain Dots』はトランスリミットの第2弾アプリであり、第1弾の対戦型脳トレゲームも1500万DLを記録。なぜ、立て続けにヒットを生み出すことができるのか。高場大樹社長は、こう語る。
「自分でもやってみたいと思えることが大切で、社員全員が面白いと思わないと、世の中の人も面白いと思わない」。
ゲームを企画するときでも、会議やブレストは行わない。個々の社員が、日々の会話の中で思いついたことが企画として固まっていく。当然、ボツになるアイデアも多い。それでも、まずはプロトタイプをつくり、実際にやってみる。つくっては壊すサイクルを短いスパンで繰り返すのである。
海外のマーケットに照準
高場社長が狙うのは、海外のマーケットだ。実際、海外ユーザーが9割を超える。それでは、世界に通用するゲームの条件とは何か。高場社長はポイントの一つとして、言語に依存しないことを挙げる。
「言葉を極力入れないことには、こだわっています。考えてみたら、言葉で説明不要なものは世の中にたくさんある。例えば、信号。赤と青の組み合わせで、多くの国の人が理解することができます」。
今後はゲームに限定せず、さまざまなサービスを視野に入れる。企画力のあるエンジニア集団が、世界への挑戦を本格化させている。

03 事業の拡大を視野に入れ、2016年から新オフィスに移転。社員が働きやすい環境づくりに力を入れている。
04 オフィスに飾られた、大西洋を中心に描かれた世界地図。「Let's get lost」の言葉とともに、世界へ飛び出していく意気込みが示されている。
05 トランスリミットの社員は、現在、約20人。

トランスリミット 代表取締役社長 高場大樹(たかば・ひろき)