博報堂アイ・スタジオは、博報堂のフィロソフィーである「生活者発想」とデジタル領域のスペシャリストが持つテクノロジー力をかけ合せ、「生活者が利用できるデジタル創造」に取り組んでいる企業だ。対応領域はWebだけに止まらず、企業のIoTプロジェクトへの参画や新しいテクノロジーの研究開発にも力を入れている。
働き方のスタイルを変える「オフィスのIoT化」
TBWA HAKUHODO QUANTUM(THQ)と取り組んだ「okamura × IoT PROJECT」では、岡村製作所の上下昇降デスク「Swift(スイフト)」と連携したスマートフォンアプリの共同開発を行った。欧米ではオフィスワークに立つ姿勢を取り入れることが一般的になっており(スウェーデンやデンマークでは、ほぼ100%のオフィスで導入)、立つ姿勢での仕事は医療や健康面、効率やアイデアの視点からも見直されている。
プロジェクトメンバーでアートディレクターの増村龍哉さんはこう話す。「岡村製作所が提唱している『+Standingのはたらき方』を習慣化させるために、どんな機能が搭載されることがオフィスワーカーにとってより良いものかを検討することからこのプロジェクトは始まりました」。
Swiftと連携するこのアプリでは、簡単なボタン操作で机を昇降できるほか、1日のうち自分の立ち座りの回数・時間が確認でき、姿勢を変えることを促すノーティフィケーション機能も搭載。「もっとも配慮した点は、継続性と便利性。使いやすいアプリを目指しました。毎日使いたくなるUIデザインや、ユーザーのモチベーションを上げるために1日の立つ時間など目標値が設定でき、画面上に表記できるようにしています(2016年春リリース予定)」(テクニカルディレクター 松瀬弘樹さん)。
3社は、この商品と連携してオフィスのIoT化、働き方を向上するサービスやアプリの開発を目指すプロジェクトを推進しており、博報堂アイ・スタジオが開発したアプリがプロジェクトの第一弾製品となる。
ソフトウェアとハードウェアのつくり手をつなぐプロジェクト
もう一つの試みが、NTTドコモのIoTプロジェクトへの参画だ。NTTドコモは昨年11 月、スマートフォンのアプリとBLE(Bluetooth Low Energy)対応のデバイスを連携させるためのプラットフォーム「Linking™(リンキング)」を開発したと発表。ユーザーは対応サービスアプリと対応デバイスを自由に組み合わせて多彩な使い方ができる。またアプリやデバイスの開発者が開発するためのAPIを公開しているなど、IoT化を推進する取り組みだ。
対応デバイスのファーストプロダクト“Tomoru(Braveridge製)”は縦横3.8cmのミニサイズで、スマホのアプリと連携して光るシンプルな設計のIoTデバイスだ。現在利用できるアプリは10種類以上あり、子どもが親と離れると光で通知する「迷子防止」のほか、傘や鍵などに付ける「忘れ物防止」「天気予報通知」などがある。博報堂アイ・スタジオが(THQと共同)開発したのは「めざせ!最速リツイートアプリ」。日常的な利便性の高いアプリが多い中、どうしてこのアプリ開発に至ったのかをテクニカルディレクターの田中英明さんはこう語る。「ユーザーが知りたいことは何か?という観点からツイッターの通知の応用を考えました。使い方もシンプルで、TwitterIDやハッシュタグを入力してデバイスと連携させるだけ。たとえばTomoruだと、イチ押しのアイドルがツイートした瞬間に光が灯り、最速でリツイートすることができます」。
「開発のきっかけは、Linkingというプラットホームを提供するコミュニケーションフレームの設計からでした。開発者に必要な情報を届けることが重要と考え、開発者向けとユーザー向けのサイトを分けて作りました。弊社が開発したアプリは、Linkingの認知を広める一つのツールとして開発したものです。ポップなデザインに加え、アプリとしてのクオリティーにもこだわりました。新しいテクノロジーは機能に偏ってしまって、じつは生活者が使いにくいなんてケースが見受けられます。広告領域で培ったクリエイティブ力が、そんな時に活かされていると思いますね」(シニアプロデューサー 久樂英範さん)。
300人規模でデジタル領域のスペシャリストが在籍する同社は、Web 制作の枠を超え、リアルな場(オフライン)を含む統合的なデジタルマーケティングと、人の心を動かすクリエイティブ×テクノロジーを強みに活動の領域を広げている。
※CAREER NAVIに、博報堂アイ・スタジオの求人が掲載されています。
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