2016年1-2月に東京ミッドタウン・デザインハブで「デジタルメディアと日本のグラフィックデザインその過去と未来」が行われた。企画・監修を行った永原康史さんにデジタル化以前・以降のデザイナーが担う職能の変化を聞く。
グラフィックデザイナーに訪れた2回の変化
グラフィックデザイナーの職能は、活字~写植時代からDTPの導入、そしてデジタル化の過程で2回大きな変化があったと永原康史さんは言う。「今はデザイン事務所に入ったらデザイナーの名刺をもらえますが、活字~写植時代はそもそもデザイナーになることが難しかったんです」。
その理由は、当時は「レイアウト」や「版下」など、制作が細かく分業されていたから。「この頃のデザイナーは素材(写真や文字)を直接扱わず、図面(レイアウト)を引くことでデザインを指示していました。版下の担当者がその図面に沿って版下台紙に配置し、またデザイナーがそれをチェックして…と進んでいくわけです。だから『デザイナー』を名乗ることはステータスであり …