障がい者アートの草分けとして知られる市民団体、たんぽぽの家。設立から約40年間、障がい者の個性を尊重した生きる場づくりに取り組んできた。
1970年代前半、重度身体障害の保護者たちが、子どもが地域と関わりあいの持てる居場所をつくろうと始めた市民運動から生まれた一般財団法人「たんぽぽの家」。福祉サービスに加えて、障害のある人がさまざまな“表現”を仕事にするためのアートプロジェクトを行ってきた。
豊かな表現力を「仕事」に
2004年にオープンしたコミュニティ・アートセンター「たんぽぽの家アートセンターHANA」は、障害のある人たちが絵画や立体造形、テキスタイル、陶芸、ダンスなどのアート活動に打ち込めるスタジオを完備。併設されたカフェには、近隣住民たちが気軽に出入りする。
現在、HANAで活動するのは19歳から60代までの約60名。彼らの活動を支える3つのコンセプトは「アート」「ワーク」「コミュニケーション」、つまり「表現する」「働く」「交流する」が活動の基本だ。表現方法は基本的にメンバー本人が見つける。絵を描き続ける人もいれば、軽作業をしたい人もいる。人と話すのが好きな人はカフェの接客をする。いわゆる「アート」だけが活動ではなく …