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BRAIN'S BRAIN

今月のカバーストーリー ~ 見る人によって表情を変える「未来時計」

Experimental Jetset

ブレーンのカバーを飾るのは、世界の先端を行くクリエイターたちの作品。「BRAIN’S BRAIN」では、「FUTURE」をテーマに彼らが制作したビジュアルとオフィスや仕事を紹介していきます。今月号の表紙を制作してくれたのは、オランダのグラフィック界を代表するデザインユニットであるエクスペリメンタル・ジェットセットです。

――表紙のアイデアについて教えてください。

未来について考えるとき、私たちはイタリアの思想家アントニオ・グラムシ(1891-1937)の言葉をよく思い出します。彼は「知性の悲観主義、意志の楽観主義」と言いましたが、確かに私たちが未来についての考えを述べようとするとき、悲観主義と楽観主義の間で揺れ動きます。

私たちはいつだって未来は自分たちの手で形作れると感じます。何もまだ決まっておらず、すべての可能性が開かれている。一方で、時間は無為に過ぎ去ってしまうものであり、時に情け容赦ない実態として姿を現します。未来は怖くて、混沌として、残酷です。

ブレーンの表紙用のビジュアルとして、私たちは時計のようなオブジェクトを作りました。私たちはよくこういった時計のような、ボード紙のオブジェクトを、展示やインスタレーションのために作ります。

私たちにとって、こうした抽象的な時計のモチーフは、不確かな、かつ可能性の開かれた未来を表現しています。この時計は悲観的に見ることも、楽観的に見ることもできます。それは見る人次第です。

Experimental Jetset

Q1. What is the idea for this cover?

Thinking about the future, we are often reminded of the words of the Italian philosopher Antonio Gramsci (1891-1937),who once said that he was torn between "a pessimism of the mind, and an optimism of the will". And indeed, when we try to formulate our own thoughts on the future,we feel similarly divided between pessimism and optimism.

We always felt that the future is something that we can shape ourselves. Nothing is decided yet, and everything is open. On the other hand, we sometimes feel that time is just marching on. Time sometimes appears as a merciless entity. The future is scary,chaotic, and cruel.

For the cover of Brain Magazine, we produced a clock-like object. We often create these clock-like, cardboard objects - we sometimes show them in exhibitions and installations.

To us, these abstract clocks express the notion of a future that is both uncertain and open. One can look at these clocks in a pessimistic way, or in an optimistic way -the choice is with the viewer.

01 アムステルダムのスタジオ Photo by Johannes Schwartz.


02 マッシュホールディングスCI(2015)


03 作品集『Statement and Counter-Statement: Notes on Experimental Jetset』


04 「Game Theory」展 (2014)北京でのグループ展の会場デザイン。グラフィックデザインを立体化したような特徴あるデザイン。Photo by Chris Lawrence and Brett A. Bloom.


05 ホイットニー美術館CI (2013)「V」「W」をモチーフに、形状が変化する斬新なCIシステムを開発。


Experimental Jetset 
アムステルダムを拠点とするグラフィックデザインスタジオ。1997年にマリエケ・ストーク、アーウィン・ブリンカーズ・ダニー・ヴァン・デン・ダンケンの3人が設立。印刷物および空間インスタレーションを中心に、アムステルダム市立美術館、ポンピドゥーセンター、Dutch Post Group、ホイットニー美術館などのクライアントを持つ。そのクリエイティブは、1990年代の日本のバンド(ピチカートファイブ、コーネリアス、ボアダムズなど)のアルバムジャケット、各種の本や雑誌、建築のメタボリズムムーブメントなどからも強い影響を受けている。

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