
01 米国公共広告協会『love has no labels』は、人間の骸骨を見せて、宗教も、肌の色も、セックス・オリエンテーション(ゲイ、レスビアンなど)も、知能指数もみんな表面的なものだと訴える。制作はR/GA。
新しい年に入ると、マーケティング業界では毎年、いろいろな予測や予言が飛び交う。「アナリティクスの時代」「顧客セントリックの定着」「インフルエンサー・マーケティングの台頭」などが、今年の合言葉だ。だが、こういった予測は「当たるも八卦、当たらぬも八卦」で、数年たたないと本当に当たったかどうかはわからない。移り変わりの早いデジタル環境の中では、特にその傾向が強い。この10年の間に、いくつかのソーシャルメディア・サービスが盛衰の道を辿っているのを見てもわかる。今年のフェイスブックは、来年のフレンドスター(昨年営業を停止したソーシャルメディア)かもしれないし、2009年に彗星のごとく現れたツィッターでさえ、すでにそのピークを過ぎていると言われている。
そうした中で、少なくとも次の10年は間違いなく存在し、しかも今以上に繁栄するだろうと予測されているものがある。2人のスタンフォードの青年の手で2005年に誕生して以降、成長を続けているYouTubeがそれだ。
台頭するYouTubeマーケティング
10年前には影も形もなかったYouTubeは、フラッシュ・テクノロジーの革新、インターネット・スピードの増幅、ソーシャルメディアの台頭など、“パーフェクト・ストーム”(最高の機会)と呼ばれる環境の中でデビューしている。YouTubeはテレビとは別のチャネルでのエンターテインメントを求めていた若い消費者を、強力な磁石に吸いつく鉄粉のように引きつけた。2005年のローンチの年に、YouTubeのビデオ視聴は1日800万本を数えた。翌年にはその数は1億に達した。この年、YouTubeはパーティシパトリー・ビデオと呼ばれるスポンサー付きビデオサイトを導入し、最初のスポンサーとしてワーナーブラザース・レコードを獲得している。YouTubeが新しい広告メディアになり得ることを見てとったグーグルは、YouTubeを16億ドルで買収。そして、2007年には、世界9カ国でYouTubeをローンチした。同時に、モバイルバージョンも展開した。2011年、ニールセンは「YouTubeパワー」なる調査結果を発表しているが、それによると、アメリカ人は同年5月の1カ月間に150億本の動画を見たと報告している。
同じ年の、テレビの視聴率の上昇はたったの0.2%。それに比べ、インターネットビデオ、主にYouTubeでの視聴率は35%、携帯電話での動画視聴率は20%上がっていると、ニールセンは報告している。
だが、この数字だけを見て、早急に広告費のすべてをYouTubeに投資してはならない。その前にもう一つ、知っておくべきデータがある。YouTubeには、1分毎に35時間に相当する動画が掲載されているという事実だ。つまり、ものすごい競合各社が並ぶ中で消費者の“アイボール”(視線)を獲得するための競争は、テレビCMの比ではないのである。
成功の秘訣は“ファインダブル”
この新しい、パワフルなメディアで競合に勝ち、ヒットを飛ばすためのノウハウがいろいろな団体から提供されているが、それがユーモアであれ、ヒューマン・ストーリーであれ、珍しいビジュアルであれ、まずそれが人の心を打つものでなければならない。それが広告である場合には、特にそうだ。
もう一つは、掲載しただけで自然に任せているだけでは何も起こらない。YouTubeで動画を見てもらうには …