ネットとリアルで新しいサービスを展開するインベスターズクラウド。各部屋が個性を持つことで住みたくなる、まったく新しいかたちの木造アパートを福岡市筥松に建設した。
日本のアパートに新しい価値を生み出す
賃貸物件を選ぶ楽しさを再認識してもらいたいという想いから生まれた住宅。従来の賃貸アパートはコスト削減のため、同じ仕様・同じ間取りで構成されることが多い。部屋ごとにデザインが異なるメゾネットタイプ(複層住戸)のこの住宅は、黒一色の外観からは想像できない華やかで、個性的な空間。各部屋はそれぞれ3つの家具ブランドの世界観を持ち、インテリアもコンセプトに合わせた家具を取り入れている。
「建物の仕様段階から各ブランドと打ち合わせを重ね、よくある家具を置いただけのモデルルームとは一線を画す仕様に仕上げました」(インベスターズクラウド CD 神田泰亨さん)。部屋ごとに仕様を変えることは、コストが上がり収益性が低下する。投資商品としての魅力を下げないために金額と建物構造の面、そして各ブランドの個性を出しながら上手にバランスを取ることで、課題を乗り越えた。すべては「1つとして同じアパートはつくらない」というこだわりから。インベスターズクラウドでは、社内にデザインオフィスを設置し、日本のアパートに新しい価値を生み出す、デザイン性の高い魅力あふれる商品を開発している。建物のIoT化やサービスのIT化を進めており、自分らしい住空間を求めるユーザーから支持を得ている。
- CD+PR:神田泰亨
- D:フリーダムアーキテクツデザイン
審査員講評:住み手の個性を引き立たせる
都市住民の多くは、それぞれのライフステージの中でその時期にふさわしい居住空間を住み替えていくことが多く、それに応えているのが賃貸住宅ですが、建設の合理性から画一的で没個性的なものとなりがちです。そんな中、この住宅は重層長屋の形式をとることでコストをセーブしながら、それぞれの空間に高さや変化をもたせて、居住空間の質を高めています。インテリアのアレンジを変えて住み手の個性を引き立たせることにも配慮して、全体をプレーンに仕上げていることも奏功しています。
古谷誠章(ふるや・のぶあき)
建築デザイナー。代表作に「アンパンマン・ミュージアム」「茅野市民館」「小布施町立図書館まちとしょテラソ」「実践学園自由学習館」など。日本建築学会賞、日本芸術院賞、日本建築大賞、AACA賞などを受賞。主な著書に、「Shuffled 古谷誠章の建築ノート」など。
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