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感じるブックジャケット(PR)

ハシゴ?本棚?本を読む行為をシンプルな図形で表現

電子書籍では得られない紙の本の魅力のひとつが、手触りや質感だ。ブックジャケットをつけられるのも本ならではの楽しさ。さまざまな質感を持つ竹尾のファインペーパーを使用し、そこに多彩な印刷加工技術を掛けあわせることで、触って感じる新しいブックカバーを提案していく。

01 ブックカバー「H」の使用例

245万部を突破した又吉直樹さんの芥川賞受賞作『火花』や、村上春樹さんの小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』など多くの話題作の装幀を手がける文藝春秋のブックデザイナー・大久保明子さん。年間約60冊、通算約1000冊以上も制作する大久保さんに文庫本のブックジャケットをデザインしてもらった。

「装幀は何よりもテキストが大切です。内容に沿っているかどうか。販売戦略上の効果、著者や編集者の思いなどを集約して、その本にとってベストな形を探ります。そういう意味で、表紙カバーは広告的要素が強いのに対し、カバーの中の本体の表紙は本当に表現したいことができやすい。通勤電車など人の目が気になる場所で読んでも恥ずかしくならないようなシンプルな装飾を心がけています。ブックジャケットは装幀と同じで本を包むものだけれど、アプローチが異なるので新鮮でした」。

濃色が多く、質感の豊かなビオトープGA-FSは『火花』の扉で使った紙。この紙を軸に見た目にも触感も気持ちのいいデザインを考えた。

18色ある中からフォレストグリーンとネイビーブルーの2色を選択。真ん中にポツンと佇むこのイラストは何を表しているのだろうか。「読書とは自分の中で一つ階段を上がれるようなものだと思っています。箔で浮き立たせたイラストはハシゴと本棚の二重の意味を持ちます。読み終えて閉じると、本棚に本がちょこんと一冊入る。読書から得られた何かを表しました」。はじめは意図のわからない表紙のデザインが、読み終えて、改めて見直すと『だからこの装幀なんだ』と気づいてもらえる工夫を大久保さんはいつも心がけている。タイトルはHashigoとHondanaの頭文字と、イラストの形そのものであることから「H」と命名。「素敵な読書体験を増やして、本棚(読者の皆さん)の中に少しずつ本が積もっていきますように」と話した。

02 『火花』(又吉直樹・著)
03 『ラオスにいったい何があるというんですか?』(村上春樹・著)
04 『羊と鋼の森』(宮下奈都・著)
05 『さよなら、ニルヴァーナ』(窪美澄・著)

※ 02~05 2015 年文藝春秋刊

大久保明子(おおくぼ・あきこ)
1971 年埼玉県生まれ。多摩美術大学デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業後、文藝春秋デザイン部に入社。書籍の装幀を主に手がける。第38回講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。

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