有田焼「2016/ project」
2016年ミラノ・サローネで本格始動
有田焼「2016/ project」
2016年に、創業400年を迎える有田焼。4世紀に及ぶ優れた技と知識を継承しながら、いまの時代に沿った新たなものづくりを進めるべく13年にスタートしたのが、「2016/ project(ニーゼロイチロク プロジェクト)」だ。世界的に活躍する国内外のデザイナーと有田焼の窯元・商社16組がタッグを組んで商品を開発。創業400年の記念すべき年に、デザイン見本市「ミラノ・サローネ」で世界市場に売り込もうというプロジェクトである。柳原照弘さん、ショルテン&バーイングスがクリエイティブディレクターを、ダヴィッド・グレットリさんがデザインマネジメントを務めている。彼らを中心にプロジェクトの参加デザイナーは、14年、15年に有田に滞在。現地で商品開発を進めている。
さる10月31日、これまでの活動報告と2016年以降の計画についての記者発表とトークイベントが、オランダ大使館にて開催された。当日、山口祥義知事、ラーディンク・ファン・フォレンホーヴェン駐日大使、プロジェクトのクリエイティブディレクターを務める柳原さんらが会見。「2016/ project」は、16年4月12~17日にミラノ・サローネに参加し、そこでこの2年間の集大成となるプロダクトをお披露目することを発表した。さらに10月末までオランダ・アムステルダムの国立美術館ライクス・ミュージアムにも巡回。アムステルダム市内にワークショップも行えるスペース「ARITA HOUSE」も設けるほか、プロジェクトブックの刊行も予定されている。
続くトークセッションは、3部構成。柳原さんを司会に、山口知事、エルデコ ジャパン ブランドディレクターの木田隆子さん、鈴田由紀夫 九州陶磁文化館館長、ステファン・ショルテンさんほかプロジェクトに参加したデザイナーたちが登壇した。山口知事は「オランダとのデザインの交流によって、佐賀から新しい生活スタイルを世界に発信できるのを楽しみにしている。行政はみなさんが結果を出せるよう、応援します」と話した。
柳原さんは途中から会場にいる窯元や商社の担当者たちも舞台に呼び、このプロジェクトを進める上での面白さや難しさなど本音を聞き出した。その言葉から、これまでに例のないプロジェクトゆえの課題も見えてきた。さらには海外から来たデザイナーたちと現地の職人たちが本気で向き合いながら、共に商品開発を進めている様子やその関係性の深さが覗えるトークとなった。伝統を守りながらも時代に合わせて挑戦し、進化を遂げてきた有田焼。さまざまなデザイナーの手と地元の窯元たちの手による …