心に留まり、意思を動かすデザインワークを得意とする制作会社しるし。社名にはひと、もの、ことに「しるし(証・標・印)」を刻むという意味が込められる。CI・VI開発からブランディング、企業ツール、マス広告、ファッション、パッケージ、Web、映像、PRなど多様なデザインワークを行う。
人と人との信頼関係がデザインに生きる
2015年1月に設立したしるし。中目黒の一軒家をリノベーションした家庭的なオフィスにクリエイター8人が在籍する。紙だけでなく、映像やWebなどあらゆるグラフィックデザインに対応できることが最大の強みだ。それぞれ専門領域に精通したスタッフが、一気通貫で制作している。
一つのオーダーに対して、一人の担当者が複数案を考えるのではなく、個々の視点から意見を出し合い、発想の幅を広げ、より効果的な企画へと純化させていくのがしるし流。「“組み立ては綿密に”をモットーに、ブレストとチェックを重ね、クライアントに提出する前に社内で競合プレゼンをします。総力でクリエイティブの質を高める努力を怠りません」(代表/クリエイティブディレクター 大輪恭平さん)。
個性に富むメンバーは互いに個性を認め合い、ライバルであり仲間。こうした良い関係性は仕事の質や効率化にも影響し、相乗効果を生んでいる。社内でも社外でも人と人との信頼関係を一番大切にする。脇を締めた丁寧な仕事をしていれば次第に信頼関係が生まれ、立場を越えた付き合いになることも。親密な関係はより深い提案ができるようになり、新しい仕事の受注にもつながっていく。「私たちの仕事は、クライアントとのコミュニケーションが要です。クライアントの目標を達成するために、オーダーされたツールが最適なのか、他に効果的なメディアはないか、些細なことでも大きなヒントへつながることもあります。一つのモノが出来上がるまでにたくさんの会話を積み上げていきながら、想いを込めた“しるし”をつくり上げています」(アートディレクター 川崎恵美さん)。チームが一丸となりしっかりと土台を固めて提案する企画は、コンセプトが明確で、広告が生み出す雰囲気や世界観が統一しているとクライアントからの信頼も厚い。
デザインの秘訣はコンセプトブック
ブランディングの仕事では、コンセプトブックをインナー向けにつくることがある。進むべき方向を迷ったときや原点に立ち戻りたいときに開く青写真や設計図のようなもので、しるしのデザインがコンセプチュアルでトーン&マナーが整っている理由はここに秘訣がある。目標やターゲットを明確にし、クライアントとスタッフが互いに世界観を共有するツールとして欠かせない。そのままパンフレットとして再利用することもあるという。
科学館で行われる夏の特別展「こわいものめぐり」は、おばけ屋敷を体験し、そこで感じる恐怖を科学的に紹介する企画展示。しるしではポスターをはじめ、チケットやチラシ、広告、ワークショップツールなど一連のビジュアル制作を担当。「企画を伺った時に知った恐怖と脳の関係は大変興味深いものでした。ただ、小さな子どもに伝えるには少し難しい内容だったので誰でも感覚的にわかるコンセプトビジュアルを作成し、それを全てのツールの骨子として広げていきました。展示を見終わった後に体験するワークショップツール(02)は、体験そのものからの企画だったため、複数のアイデアを試作し、体感して一番盛り上がったびっくり箱を採用。あらかじめベースのビジュアルが印刷された台紙に目玉シールを子どもたちに自由に貼って顔をつくってもらいました。こわいって何だろう?というテーマに触れた後に、自分でつくるこわい顔で身近な人を驚かせる側になってみるという試みは会場でも盛り上がり、おばけ屋敷の恐怖体験に大泣きしていた子どもが、キャッキャと喜ぶ声を聞いた時は嬉しいものがありました」(川崎さん)
「すべてオーダーメイドでものづくりを行うため、常に目の前の課題に真摯に向き合い、丁寧な仕事を行い、それを変わらず続けることを何よりも大切にしています。しるしに依頼すれば、考えてもいなかったアイデアを提案してくれる。そのような頼りにされる存在になっていきたい」(大輪さん)。デザインの力で信頼を得れば、ファンも増える。クライアントが悩んでいる本質を捉え、デザインを通してともに喜び合える関係を築き上げることを常に意識している。
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制作会社しるし
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