大谷石の地下採掘場跡を舞台に、さまざまな体験を楽しめるツアー、『OHYA UNDERGROUND』を仕掛けるチイキカチ計画。それは、地下空間の価値を伝える1枚のイメージ画像から始まった。
巨大地下空間を「遊び場」に
宇都宮市の大谷町は、帝国ホテルにも使用された建材、大谷石の産出地だ。かつて採石場として使われた跡地があり、巨大な地下空間が広がっている。
「昔から地下空間が好きなんです」と語る、有限責任事業組合(LLP)チイキカチ計画代表の塩田大成さん。塩田さんは普段、自身の会社・ビルススタジオで、空間プロデュースを手掛けている。4年程前、知り合いから「大谷には採石場跡地が250ヵ所ほどあるから、何かできないか?」と持ちかけられた。「地底湖をボートに乗って探検できたら、面白そうだと思いました」
実現のためには、誰の協力が必要か。塩田さんはまず、地底湖と人が乗ったボートの写真を合成し、1枚のイメージ画像を作成。思い当たる人にメールで送りつけた。その一枚が持つメッセージは、言葉より雄弁だったのだろう。「特に説明しなかったにもかかわらず、『面白そう!』と何人かから返信がありました」。そして集まったのが、チイキカチ計画のメンバーとなる3人だった ...