アイデアとは新しい組み合わせである
『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)を初めて手にしたのは、美大受験の予備校に通っていたとき。同じ予備校で尊敬していた友人に。この本いいよ」と薦められたのがきっかけです。その友だちはアートやデザインに詳しいだけではなく、流行の半歩先を颯爽と走っているような人。感度が高く知的で、今から30年以上前に「デザインは表層的なものではなく、経済も動かす」といった話をしていたほどです。そんな友人がすすめるなら間違いないだろうと、買ってみました。
デザインの見方
会社に入り、自分でお金を稼げるようになったとき、週末ぐらいは少し高いビールを飲もうと思いました。そのとき、近所のスーパーで手にしたのがハートランドビール。選んだ理由は、単純ですが見た目。他のビールはラベルに文字情報があふれているけれど、ハートランドは飲み口のところに、「原材料:麦芽、ホップ」と書かれた小さなラベルが巻いてあるだけ。そのシンプルさ、潔さに惹かれ、思わず手に取りました。
瓶にはロゴがエンボス加工されていて、手触りがいい。飲んでみると味もおいしかった。その後、大学の先輩がハートランドのアート作品公募展に入選したと聞きました。広告ではなくアート活動をしている商品。そのときは何故そんな活動しているのか理解できませんでしたが、ハートランドは他のビールとは何かが違う、と感じました。
買ったとき、まったく意識していなかったのですが、ハートランドはキリンのビールであることを後日知りました。すっかりハートランドのファンになっていた僕はキリン担当の局にいることもあり、「この仕事を担当したい!」と言い続け、その甲斐あって、2011年から担当させていただいています。
ハートランドは来年で発売30周年。入れ替わりが激しいビール業界のなかで ...