富士山の麓、山梨県富士吉田市の織物メーカー数社と東京造形大学テキスタイルデザイン専攻領域との産学協同開発企画として2009年にスタートした「富士山テキスタイルプロジェクト」。学生とメーカーが二人三脚で商品を開発し、なかにはヒット商品も。以降、毎年開催され今年で7期目を迎えている。
学生と機屋とのコラボで生まれた商品
江戸時代、庶民のオシャレ着に使われた甲斐絹など伝統的な繊維産地として知られる富士吉田。ところが、プロジェクトがスタートした2009年は、生産のほとんどをブランドからの委託生産に頼っていた。その結果として、織物産地としての特色やアイデンティティーが薄れ、繊維問屋の海外生産への移行により危機に見舞われていた。自社企画製品比率を上げ、新規の販路開拓が急務だった。そんな中、この閉塞感を打開したいと考える若手の職人たちから申し出がありプロジェクトはスタートした。
「この企画が問題解決に直結するというより、何か動き出すきっかけを模索していたのだと思います。学生にとっては知識や現場を体験する機会を、メーカーにとっては新鮮な視点や熱意を。メーカー1社に対し学生1人を担当させて、インターンに近い形で商品開発を進めてもらうことになりました」(鈴木マサル教授)。
双方手さぐりではじめたプロジェクトも徐々に目に見える形となって成果が表れてきた。このプロジェクトからファクトリーブランド「kichijitsu」(毎日が吉日をコンセプトにした生活雑貨シリーズ)が誕生し、縁起の良いスマートフォンケース「おまもりぽっけ」や御朱印帳「GOSHUINノート」などの大ヒットアイテムが生まれた。今年は新たに野菜がモチーフのパラソル「菜-sai-」がメディアに紹介されるなど注目を集めることになった …