文化都市としての東京のいまを考える
“TOKYO” -見えない都市を見せる
1980年代、東京は世界的に注目される華やかな文化都市だった。サブカルチャーやポップカルチャーの豊かさに、アートの文脈を交差、リミックスして新しい文化を生み出す東京の創造力が花開いた。しかし、四半世紀経った現在、東京は文化都市としてどのような姿を世界に、またここに住む私たちの前に表しているのか。
「“TOKYO”-見えない都市を見せる」展は、「東京」を浮かび上がらせるための二つの要素によって構成している。一つは、各界で活躍する東京のクリエイターが各々のトピックでキュレーションする「東京」。もう一つは、国内外の作家が「東京」をテーマにつくる新作である。YMO+宮沢章夫、蜷川実花、スーパーフレックス、ホンマタカシ、サーダン・アフィフ、岡田利規、松江哲明ほか計9カ国51組の作家が参加する。もはや一つの概念でまとめるのは不可能に近い東京。本展では、複数の視点を通して、この「東京」という都市を多角的に探っていく。
東京アートミーティングVI “TOKYO”-見えない都市を見せる |
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東京都現代美術館 企画展示室1階、3階10時~18時(入場は17時30分まで) 休館:月曜(ただし11月23日、2016年1月11日は開館)11月24日、12月28日~2016年1月1日、1月12日 ◆お問い合わせ→03-5777-8600(ハローダイヤル) |
杉本博司の作品とコレクションを公開
01 「ハイエナ・ジャッカル・ハゲタカ」1976年
©Hiroshi Sugimoto / Courtesy of Gallery Koyanagi
02 「軸」堀口捨己、「キリスト胸像」14世紀 イタリア トスカーナ地方
撮影:森山雅智 ©Hearst Fujingaho
03 「阿古陀形兜」鎌倉時代、「夏草」2015年 須田悦弘
撮影:杉本博司
杉本博司 趣味と芸術-味占郷/今昔三部作
現代美術の枠を超えて、多様な活動を続ける杉本博司の個展が、千葉市美術館で開催中だ。
本展は、「趣味と芸術-味占郷」と「今昔三部作」で構成される。「趣味と芸術」では、『婦人画報』で連載中の「謎の割烹味占郷」のなかで、杉本が各界の著名人をもてなすために、毎回そのゲストにふさわしい掛軸と置物を選んで構成した床飾りを再現。独自の審美眼で収集された自身のコレクションを使い、27の床のしつらえをつくりあげる。「今昔三部作」では、杉本の代表作というべき3つの写真シリーズ、《ジオラマ》(1975)、《劇場》(1975)、《海景、1980)の初期作から日本初公開の新作を、16点の大判プリントにより展覧することができる。
杉本博司 趣味と芸術-味占郷/今昔三部作 |
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開催中、12月23日まで。千葉市美術館 日~木曜:10時~18時、金・土曜:10時~20時(入場受付は閉館の30分前まで) 休館:11月2日、12月7日 観覧料:一般1,200円、大学生700円、11月3日は無料。 ◆お問い合わせ→043-221-2311 千葉市美術館 |
重ねること、隠すことで何が見える?
ポール・コックス展「ローラースケープ」
カラフルでコンセプチュアルなインスタレーション作品や舞台美術から、物語性のあるイラストレーションまで、幅広く手がけるポール・コックス。彼の個展「ローラースケープ」が、クリエイションギャラリーG8で、11月19日まで開催中だ。本展は、南仏マルセイユのフォトキノで開催された個展の作品を、新たにG8バージョンとして制作・再構成している。
「ローラースケープ」のインスタレーションとして会場に置いてあるのは、ある形に切り抜いてペイントし、ローラーをつけたオブジェ。さまざまな尺で描かれた風景のパーツを、来訪者は自由に動かし、まるで舞台の美術を組み立てるかのような体験ができる。「ひとつのオブジェのある部分が、その前に置かれた他のオブジェで隠されているのを観察するのは興味深い。重ねることや隠すことについての研究は、絵画の歴史においても、非常に心を惹かれるテーマだ」と話している。
ポール・コックス展「ローラースケープ」 |
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開催中、11月19日まで。クリエイションギャラリーG8 11時~19時 休館:日曜、祝日 入場無料 ◆お問い合わせ→03-6835-2260 クリエイションギャラリーG8 |
43年前の展覧会を再現する
Re: play 1972/2015―「映像表現’72」展、再演
1972年、京都市美術館で開催された「映像表現’72」展。43年の時を経た2015年、東京国立近代美術館に場所を移し、当時、先駆的かつ画期的だった、この展覧会が“再演”されている。
本展の趣旨は、過去の展覧会を懐古的に「再現」するのではなく、「再び舞台にのせる」こと。つまり「再演(replay)」し、そして「再生(replay)」することである。43年前の残響に耳を澄まし、残像に眼をとめながら行われるこの「展覧会=上演」によって、2015年という「いま、ここ」におけるその現代的意味を捉え直す。
Re:play 1972/2015 ‒「映像表現’72」展、再演 |
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開催中、12月13日まで。 東京国立近代美術館1階企画展ギャラリー 10時~17時(金曜は20時まで)入館は閉館の30分前まで 休館:月曜(11月23日は開館)、11月24日 観覧料:一般900円、大学生500円 ◆お問い合わせ→03-5777-8600(ハローダイヤル) |
ちょっと気になる英国の2人組
「ジョン・ウッド&ポール・ハリソン 説明しにくいこともある」展
英国を拠点に、パフォーマンスやアニメーション、建築的なセットやさまざまな装置などの要素を取り入れたビデオ作品を共同で制作しているジョン・ウッド&ポール・ハリソン。彼らの日本初となる大規模個展がNTT インターコミュニケーション・センター[ICC]で開催される。
固定アングルで撮影される彼らの映像作品は、どこかおかしみを感じ、そこはかとないユーモアを感じさせられる。本展では、作品のテーマをパフォーマンス、アニメーション、物語、映画の四つに分類し、日本初公開となる作品を含む20作品によって展観する。
「ジョン・ウッド&ポール・ハリソン 説明しにくいこともある」展 |
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11月21日~2016年2月21日 NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]ギャラリーA 11時~18時(入館は閉館の30分前まで) 休館:月曜(祝日の場合翌日)、12月28日~1月4日、2月14日 入場料:一般500円、高校生以下無料 ◆問い合わせ→0120-144199 NTTインターコミュニケーション・センター[ICC] |
文字だらけのユニットのこれまでとこれから
字字字 大日本タイポ組合
日本語の五十音や漢字、英語のアルファベットなどを解体したり、組合せたり、再構築することによって、新しい文字の概念・可能性を探り続けて22年の、実験的タイポグラフィユニット・大日本タイポ組合。そんな彼らの文字通り文字だらけの展覧会「字字字 大日本タイポ組合」が始まる。
会期中、毎週金曜日にはギャラリーラ字オ「トークナイトダイニッポン」を開催。ほかにも「字ーユー銀座展」と題したワークショップなど、楽しい企画を用意。「これまでやってきたこと、これからやっていきたいこと、字問字答しつつまとめてみたら文字通り文字だらけになった」という彼らの世界を存分に楽しんでほしい。
字字字 大日本タイポ組合 |
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11月4日~28日 ギンザ・グラフィック・ギャラリー 11時~19時(金曜は20時、土曜は18時まで) 休館:日曜・祝日 入場無料 ◆お問い合わせ→03-3571-5206 ギンザ・グラフィック・ギャラリー |