関西を中心に活動する人気インディーズバンド「空中メトロ」を、京都精華大学デザイン学部の学生がプロデュース。MVのほかロゴマーク、アーティスト写真、CDジャケット、販促ポスターなどを制作。アーティストと学生が一緒に学びながら作品を創り上げる共学・共創プロジェクトとは?
皆が良いモノを作ろうと必死になる環境に身を置く
京都精華大学デジタルクリエーション学科は、担当教員の牧鉄兵さん(漫画家・映像作家)と井口皓太さん(モーションデザイナー)の指導のもと、アーティストのMVや関連するクリエイティブ制作に取り組んでいる。この授業では関西の人気バンド「空中メトロ」のデビューに向けたMVの他、すべてのアートワークを企画制作。グラフィックデザイン学科の学生も参加し、総勢15人の学生によるプロジェクトがスタートした。
「空中メトロ」のボーカル兼ギターを務める幸里紗子さんは、京都精華大学ポピュラーカルチャー学部に所属する学生でもある。4~7月の約4カ月間、学生たちはバンドメンバーとともに企画の方針を議論しながら創り上げていった。メンバーが大事にするメトロ(電車)のモチーフを前面に押し出しながら、バンドのビジュアルコンセプトを「切なさ系日常ファンタジー」と規定し、クリエイティブ全体を構築。アニメ、グラフィック、実写など各自の得意領域に応じて役割を分担し、対象曲「ネズミーランド」のMVでは、遊園地の帰り道のセンチメンタルな雰囲気と、プラレールを走るネズミと現実の電車が交差するファンタジーな世界を作り上げた。
「チームで一つのモノを作り上げるには、団結力だけではなく個人の意見をしっかり持つことが大切。時には先生と生徒の間で意見が対立しましたが、それだけ自分たちの意見を持てるようになったのだと思います。責任感を持ってモノを作る大切さを学べた授業でした」(3年生・浜村満果さん)。
「コストなど普段の自主制作では向き合うことのない問題に向き合う機会となりました。撮影は編集と並行して深夜にまで及びましたが …