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言葉力が光る ラジオCM

ラジオでしかできない、ラジオならではのアイデア

中川英明

ワコールの企画でACC CM FESTIVALラジオCM部門グランプリを2年連続受賞(2013、2014年)。いまやラジオCMの企画、コピー、演出におけるトップランナーの一人と言える電通の中川英明さんにラジオCM制作の秘訣を聞いた。

※「ボクの周りのブラ事情/友達」篇も試聴できます。

「2つのふくらみ」から実姉ブラ話へ

ワコールさんとは、同社の提供番組に流すラジオCMをレギュラーで制作させてもらっています。2013年の「まったく同じナレーション」は「メンズ肌着」を題材にしたCMでした。制作メンバーとの打ち合わせ時に、誰かがふと「そういえば女も男もどっちも2コあるよね」と言いました。皆が聞き流す中、自分だけが「エー!そう言われればそうだ!」と驚いてしまい、思わずメモ用紙に書き留めたほどです。「2つのふくらみ」というコピーはここから着想を得ました。それからこのアイデアの種をどうやって育てようかと考えていると、新入社員の頃に観た海外のテレビCMが脳裏をよぎりました。1人の男が旅行に出掛け、空港からタクシーに乗って橋を渡って街に行くというだけの映像です。が、「まったく異なるBGMで同じ映像が2度繰り返される」というのがそのアイデアになっていました。1度目は不安で不気味な音楽、2度目は陽気で楽しい音楽。同じ映像なのに、そこに加える情報を一つ変えただけで、劇的に印象が変わりました。このアイデアがすごくおもしろくて、いつか自分なりに挑戦してみたいと思っていたところ、今回の企画がピタリとはまりました。

演出面で工夫したのは女性ナレーターの声です。リスナーが言葉を聴いて想像する時間を設けるために“間”を意識したのと、題名にある通り …

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