社会と深く関わる
アーティストたち
03 アピチャッポン・ウィーラセタクン「Power Boy (Mekong)」2011 Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE,
©Apichatpong Weerasethakul
04 ジャン=リュック・ヴィルムート「Marine Science」 2011/2013 Collaboration with Asami Nishimura
05 伊藤隆介「そんなことは無かった」2012
06 奈良美智「請戸小学校 / 2011年3月11日3時38分に止まった時計」2013,©Yoshitomo Nara
「Don’t Follow the Wind Non-Visitor Center」/
「TODAY IS THE DAY:未来への提案」
2011年の東日本大震災は、アートにおける表現、そしてアーティストの取り組み方にも大きな影響を与えた。社会的な視点は従来にはないテーマ、モチーフ、展示場所など、これまでにない試みが行われ、アートの新たな可能性が切り拓かれている。
こうした試みのひとつが、東京・ワタリウム美術館で始まる展覧会「Don’t Follow the Wind Non-Visitor Center(非・案内所)」だ。これは2015年3月11日に開始した、東京電力福島第一原子力発電所周辺の帰還困難区域内で開催されている展覧会「Don’t Follow the Wind」(以下「DFW」)のサテライト展示である。
「DFW」には、艾未未(アイ・ウェイウェイ)、Chim ↑ Pom、グランギニョル未来、ニコラス・ハーシュとホルヘ・オテロ=パイロスなど国内外12組のアーティストが参加している。元住民によって提供された区域内の会場に作品が展示されているが、会場は立ち入り制限された危険な場所のため一般公開はされていない。つまり、この展覧会は封鎖が解除される日まで、観に行くことができないのである。
そこで本展では、「DFW」にまつわる資料を開示、帰還困難区域に設置された作品に関連した各作家の作品を展示。さらに、ドキュメントとして映画監督・園子温による映像インスタレーションを展示するなど、さまざまな角度から鑑賞者の想像力を喚起させる。震災から4年以上を経た現在も、なお多様で深刻な問題が続く事故に対するアーティストたちの試みでもある。住むことすらできないほどの崩壊と汚染が起きている大災害のなかで、アートにできることとは何かを考えさせられる展覧会だ。
被爆70周年という節目に合わせ、広島県廿日市のアートギャラリーミヤウチで開催されているのは「TODAY IS THE DAY :未来への提案」だ。本展は、被爆70周年という節目に合わせ、社会が露呈する本質に疑問を投げかけるときが「今」であると考え、企画されたもの。ダレン・アーモンド、ビル・ヴィオラ、ジャン=リュック・ヴィルムート、ピピロッティ・リスト、奈良美智など社会とリンクしながら多くの創造活動を行う世界各国16名のアーティストが、世界初の被爆地・広島を舞台に参加した。映像、写真、絵画、インスタレーションなど、企画者との協議の上、アーティスト本人が選定(提案)した作品、あるいは新作で構成。参加作家のうち8名が、本展のための新作、リメイクを展示している。
「Don’t Follow the Wind ― Non-Visitor Center」展 |
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9月19日~10月18日 ワタリウム美術館 11時~ 19時まで(毎週水曜日は21時まで) 月曜休館(9月21日、10月1日は開館) 入館料:大人1,000円/ 学生(25歳以下)800円 ◆お問い合わせ→03-3402-3001 ワタリウム美術館 |
TODAY IS THE DAY:未来への提案 |
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開催中、9月27日まで。アートギャラリーミヤウチ 2,3F展示室ほか 11時~ 18時(ただし入館は17時30分まで) 火・水曜休館(ただし9月22、23日は開館) 観覧料:一般800円、学生500円、高校生以下または18歳未満・各種障害者手帳をお持ちの方は無料 ◆問い合わせ→0829-30-8511 アートギャラリーミヤウチ |
小さな連続性が生み出す
デザインの力
01 銀座地区公共サイン実証実験,中央区役所都市整備部都市計画課, 2012
02 市原湖畔美術館 サイン計画, 市原市, 2013
03 リキテックスアートプライズ 2013, バニーコルアート, 2013
「Yoshiaki Irobe:WALL」
グラフィックデザイナー 色部義昭さんの個展「Yoshiaki Irobe:WALL」が、9月2日からギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催される。
国内外のデザイン賞を多数受賞し、公共空間のインフォメーションデザインの機能と質の向上を模索している色部さん。VI、サイン計画、展覧会グラフィック、エディトリアル/ブックデザインなど幅広くデザインを展開することで、社会の中でのグラフィックデザインの力の生かし方を考えて活動している。
本展は、2020年オリンピック・パラリンピック競技大会開催都市が東京に決定したことにより設置された「東京デザイン2020 フォーラム」でのプレゼンテーションをもとに発展させた「TOKYO PROJECT」の発表の場。同プロジェクトは ...