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私のクリエイティブディレクション論

ゴールを提示し、チームを精神的に支える

石川英嗣

ENEOS、トヨタ自動車、ソニーモバイル、旭化成ヘーベルハウスなど、大企業のキャンペーンを数々手がけてきた石川英嗣さん。キャンペーンやチームによってさまざまなカラーのある石川さんの仕事は、どのようなディレクションを通じて生まれるのか。

石川英嗣(いしかわ・ひでつぐ)
クリエーティブディレクター/コピーライター。1983年電通入社。以後クリエーティブ局にてコピーライターとして活躍、数多くの広告制作に携わる。2006年電通退社。石川広告制作室設立。これまでに手がけた仕事にトヨタ自動車「こども店長」、ダイハツ「第3のエコカー」、旭化成ホームズ・ヘーベルハウス「土地が狭いのは日本のせいだが、家が狭いのは自分のせいだ。」、JR東海「コンビニがなくてよかった、そう思う町並みもあるんだな。」をはじめ、ソニーモバイル「Xperia」、朝日新聞、新日本石油「エネゴリくん」、ユニクロ、ソニー生命、オムロンヘルスケアなど。TCC賞、TCC最高賞新人賞、ACC賞ほか多数受賞。

――石川さんの考えるCDの役割とは何ですか。

CDの役割と聞いて最初に考えたのは「ゴールイメージを提示する」ことです。ゴールイメージというのはケースによってまちまちです。具体的な世界観や企画の構造が明快に見えていて伝える場合もありますし、もっと方向性みたいな緩い形で伝えることもあります。打ち合わせをしている間にクリアになってきて、あるタイミングでゴールイメージをチームで共有することもあります。

役割の2つ目は「ジャッジする」ことです。僕の場合は編集の細かい部分にはあまり口を出さずに任せることが多いのですが、それより手前の、企画の選び方などの部分を細かく見ます。競合の場合などは特にどういう企画でプレゼンすべきかの選択がポイントになってくるので、ここが重要です。あとは当然「ダメだし」をするという意味でのジャッジも含まれます。

3つ目は、「プレゼンの時、真ん中に座る」ということです。真ん中とは、つまりプレゼンをする人であるということ。自分が若い時についていたCDで、プレゼンの時にいつも端に座る人がいたんです。それを見ていて、端に座る=その場の責任も現場に任せる、という意思表示な気がして。だからたとえ別のスタッフがしゃべる時でも、CDは話す人の横に座る。真ん中に座るというのは、クライアントに責任を持って対峙するということです。それもCDの大事な役割だと思います。

最後にチームのスタッフィングをし、チームの若いスタッフの精神的な支柱になること。スタッフには不安を感じないで …

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