プロ、アマ問わず競うコピーバトル、C-1グランプリ。今回のお題は、「若者よ、バーに来れ!」。お酒を飲まなくなった若い人たちをバーに誘(いざな)うコピー。西村佳也さんとピート小林さんが選んだコピーは?
出題テーマ:「若者よ、バーに来れ!」。お酒を飲まなくなった若い人たちをバーに誘(いざな)うコピー。
もっと深く、モノの意味について考えよう。
西村: 「思ってたより、面白いコピーが集まったね」
ピート: 「私はそうは思いませんでしたね。つまんなかったよ。つまんなかった」
西村: 「そ〜お?」
ピート: 「うん、コピーの力落ちてんじゃないの?」
西村: 「僕はね、こういう言葉の面白さ競技みたいなのになると、最近の方がうまいと思うの。でもね。ちゃんと広告の中でコピーが頑張ってるかとなると、最近は悲しい情況じゃないかと思うんだよね」
ピート: 「それは僕も思うね」
西村: 「でしょ?ここ十年あるいは十五年。コピーは不調だったと思う。原因はなんかね?」
ピート: 「ひと言で言えば、本質が忘れられてるんだな。情報過多で、現象だけが一人歩きしてる。それを撫で回してるだけなんだね」
西村: 「もっと奥深くに答があることを意識してほしいね」
ピート: 「それは今回のC-1グランプリについても言える」
西村: 「ところでピートは、アメリカのバーテンダー協会公認資格を持ってるんだよね?」
ピート: 「うん、若い頃向こうにずっと行ってたから」
西村: 「すごいね。僕がバーテンダーだったのは学生時代の2年ちょっと。でも人生に大きな影響を与える経験だった。酒は僕にはなくてはならぬ物なんだけど、その意味に迫るコピーは、今回はなかったな」
ピート: 「もっと深く、モノの意味について考えてほしいと思ったね」
西村: 「いずれにしても、お酒の経験が少ないね、みんな」
ピート: 「何事によらず、もっと深く関わってほしいよね。生きると言うことはそういうことでしょ」
西村: 「結局、モノとヒトの関わりが希薄なんだよ。今という時代は」
ピート: 「そのことがよくわかったね」
グランプリ
なりたい大人は会社にいない。
髙木守 (コクヨ)
自分はどんな大人になりたいのだろう。仕事をバリバリこなす人はカッコいいけど、それが一番なりたい自分でもない気がする。答えを見つけに、バーに行くことにします。
P.S. 100回記念の視聴者プレゼントでコピー年鑑をいただきました!そしたらグランプリ獲れました。年鑑のパワーってすごい。
すべてのバーに、素敵な「大人」がいるとは限らない。むしろその反対であるかもしれない。けれどここで人と語らい、自分と語らうことによって人は脱皮を繰り返す。このコピーはそういう世界を反語的に、鏡のように映し出した。(西村)
ズレている大人が仕切って迷走する日本 VS 旧弊に果敢に挑む「若者」の図式が、端的で 素直な共感を呼ぶ。(自称)我こそはの大人もバーに復帰すれば、日本は少しよくなる!?(ピート小林)
あぁ、こういう人生もあったのか。
藤井識史(モーク・ワン)
バーは鏡だ。バーは自分の中にある。そして自分の外にあるのだ。まさに、「そういう人生」もあるのだよ。
ひとりきりになりたいけれど、ひとりぼっちになりたくない時に。
山本絵理香
バーの時間に自分が溶け出すのをじっと見ているのはいいものだ。ひとりきりだけれど、ひとりぼっちではない。
居酒屋だとたわ言、バーで語れば哲学
西岡あず海(Cotoba Design)
つまり、その空間には奥行きがあるということだ。言葉は化学変化する。
「 スマホを捨てよ、バーへ行こう。」寺山修司
古川衛
言葉の錬金術師「テラシュー」の名高い至言「書を捨てよ、町へ出よう。」の2015年的 成功例とみる。(この2年、バーテンダーで接した若者の半数はスマホ片手でしたが・笑)。20年前にもBARがあったから僕ができた。
平間麻友子
一瞬、ん?と思わせ、次の瞬間に伝わるスピード感がいい。こういう作為性、コピーの "まことしやか"さが効いている。クスッときて、バーの深層的な一面をよく突いている。
苦手なのは、お酒じゃなくて、飲み会だった。
山田尚文(E-グラフィックスコミュニケーションズ )
居酒屋から角打ちまで、娑婆(シャバ)にあまたある飲み屋を狙い撃つのは正攻法のひとつ。 10年1日のごとく延々と続く日本型社会をクサして、若者をバーへ、ある種、誘っている。
ファイナリスト
小声だと、深く話せるね。
洞田拓也
大人の成長期は、夜。
鈴木一真(ケイエヌプランニング)
バーで飲む酒の味は、旅先で見る月と似ている。
福本慎太郎
酔うためじゃない酒を、おぼえた。
山田尚文(E-グラフィックスコミュニケーションズ)
50歳の飲み友ができました。
堤真紀
バーテンダーは初めて入ってきた僕に「お帰りなさい」と言った。
藤沢隆博(アドソニック)
ROUND109 テーマ発表!
課題:妻が夫といっしょの墓に入りたくなるコピー
妻の3人にひとりが、夫と同じ墓に入りたくないそうです。出題者のふたりは、すでに人生の折り返し地点を過ぎた立派な中年。他人事ではありません。そこで、ぜひ妻たちを口説いて欲しいのです。いっしょに墓に入らないか、と。わたしたちの老後、いや死後がかかっています。あ、もう、いけません…C-1の文字が死-1に見えてきました。一生のお願いです。一刻も早く、世の夫たちを救う名コピーを。
出題者:都築徹(株式会社電通)
コピーライター/クリエイティブディレクター。1990年電通入社。2003年TCC入会。東海テレビ報道部「伝えつづける」、マキタ「ニッポンの草刈だ」など担当。TCC賞・TCC新人賞、ACCテレビ金賞・ラジオ金賞・ジャーナリスト賞、ADC賞、消費者のためになった広告コンクール金賞、ギャラクシー大賞他。
ゲスト:本多集(株式会社電通)
アートディレクター/クリエーティブディレクター。日本交通事業社(現JTBコミュニケーションズ)→電通中部支社→電通本社第2CRP局所属。2011年TCC入会。本田技研工業、出光興産、六本木ハロウィン、香川県など担当。NYADC賞、朝日広告賞、讀賣広告大賞、毎日広告デザイン賞、広告電通賞他。
C-1グランプリ 応募受付ウェブサイト
https://www.sendenkaigi.com/c-1/
※応募方法を必ずお読みいただいてからご応募ください。
応募についての注意事項・作品に企画意図は不要です。
・応募作品のコピーのみでご応募ください。
応募できるのは一人3作品までです。
・複数応募が発覚した時点で失格となります。
入力された情報は、そのまま応募作品として受理します。
・氏名、会社名などもふくめて、誤字や脱字には十分ご注意ください。
出題者への課題についてのお問い合わせはご遠慮ください。
応募〆切 9月25日(水)18:00
※ 締切直前には応募が殺到し、アクセスしづらくなる可能性があります。アクセス中に締切時間を過ぎてしまわぬよう、余裕を持ってご応募ください。
※ 機器の不具合によるシステムダウン以外につきましては、一切の責任を負いかねますので予めご了承ください。
FROM TCC
こんにちは。TCC事務局の筋肉クマ男です。秋ですね。暦の上ではもうとっくに秋で日が沈むのもどんどん早くなってきました。そんなこの頃、思い出すのがこのコピー。“人生の約半分は、暗闇である”(三井物産MAG-LITE/1998/原裕幸さん)ということは、残りは明るいんだろうか。せめて約半分は明るい人生だといいな・・・。過ぎ去った夏の思い出にひたる筋肉クマ男なのでした。
イラストレーション:イトウツヨシ