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シリアスになるテーマを面白く、わかりやすく伝える

旭化成ホームズ へーベルハウス

スタートは定年退職、ゴールは昇天というユニークな「すごろく」が30段の新聞広告として出稿された。旭化成ホームズ へーベルハウス「老後すごろく」だ。

01 3月と4月に出稿した「老後すごろく」。

「すごろく」で老後の選択肢を提示

このすごろくを制作したのは、博報堂ケトル クリエイティブディレクター 橋田和明さん、博報堂 コピーライター 吉岡丈晴さん、同アートディレクター 柿崎裕生さんの3人。

2012年に同社「2.5世帯住宅」の広告を担当後、3人は不定期ながらヘーベルハウスの広告を制作している。企画は基本的に3人で行い、アイデアはみなで出し合い、その後ブレストし続け、プレゼン前日に一気につめるというスタイルだ。「へーベルハウスさんの場合、長年にわたる研究成果やデータが蓄積されており、そこには圧倒的に強いものがある。だから僕らは余計なことはせず、いただいた課題に対してどこに着目したか、そこからどういう筋道を描いたのかをシンプルに企画書にまとめています」(橋田さん)。

「老後すごろく」は、「定年退職」からスタートする。子どもたちの巣立った一戸建てで夫婦二人の人生が始まり、孫の誕生、再就職、熟年離婚など、新たなドラマが展開され、新たな選択が迫られる――。そんな複雑な人生模様を描きつつ、老後の住まい方をシミュレーションしている。「老後すごろく」は、同社「二世帯住宅」の40周年プロモーションとして30段の新聞広告で出稿された。

オリエンは、へーベルハウスマーケティング本部営業推進部課長 中村干城さんから「二世帯住宅を考えるきっかけをつくる広告を提案してほしい」という話があった。「テーマは介護。老人ホームが足りない、入居するのにお金がかかるなど、ニュースで目にすることも多いけれど、なかなか解決方法が見つからない。でも実は“家”で解決できることがある。きちんと住まい方を考えて家をつくることが、社会問題を解決していくことにもつながるのではないか――。それがへーベルハウスの基本的な考え方で、その解決方法のひとつとして二世帯住宅があることをメッセージしてほしいというご依頼でした」(橋田さん)。二世帯住宅の対象となりうる高齢者の気持ちとして、「私たちはまだまだ元気だから、同居しなくても大丈夫」という根拠のない自信がある。自分に問題なければ同居を考えないし、特養待機の増加など世の中の情勢をあまり知らず、危機感もない。そんな人たちに向けて、どうすれば二世帯住宅の必要性に気づいてもらえるか。

そこで3人が着目したのは、日本人の平均寿命だ。昨年、男女とも80歳を超えている。「日本人の多くが、人生80年時代に突入。60歳の定年退職後、20年も生きるわけで、むしろそこから新たなドラマが始まるのではないか」(吉岡さん)。そこから発想したのが「すごろく」である。すごろくを選んだのは、シリアスにもなりうるテーマを面白く、わかりやすく伝えることができること。そして、この広告を読んだ人たちに「人生を押し付けない」ということがある。「老後すごろく」を見るとわかるように、「建てかえ」の項目で2つの選択肢が、「健康不安」の項目で3つの選択肢を用意している。「二世帯住宅という商品の広告ではあるけれど、いろいろな人たちの事情を考えると、それだけが良いと言い切るのは難しい。だから、あえてフラットにし、どんな人でもあてはめて考えられるようにつくっています」(吉岡さん)。キャッチフレーズも「二世帯はイイですよ。という都合のいい広告ではありません。」と書いた。また高齢者向け住宅なのか、二世帯なのか、単世帯なのかと、あえて選択肢を設けることで、自分自身について考えるきっかけも提供したいと考えた。「誰もが考えることであるけれど、ちょっと口にしにくいことでもある。それを素直に受け取ってもらえるようつくりこんでいきました」(橋田さん)。

企画書と同時に、柿崎さんはすごろくの全体図とイラストを描き上げ、プレゼンに並べた。「楽しい感じがよいと思い、最初はカラフルなデザインにしました。でも、単純に“これ、楽しいでしょう?”と見えると、こちらからの押し付けに感じられてしまう。絵が主体のものではあるけれど、メッセージをきちんと立てた方がよいだろうと考え直し、イラストの色数を絞りました」(柿崎さん)。

すごろくのゴールには …

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