『風の谷のナウシカ』に出てくる架空の飛行装置「メーヴェ」をモデルにした、一人乗り航空機「M-02J」を開発したメディア・アーティスト、八谷和彦氏。見る人をワクワクさせる数々のプロダクトは、どのように生み出されているのか。
物語で描かれた未来を現実に
メディア・アーティストとして、数々の驚異的な作品を生み出してきた八谷和彦氏。映画『風の谷のナウシカ』に出てくる飛行装置「メーヴェ」をモデルにした小型飛行機「M-02J」など、物語に描かれた未来のプロダクトを現実のものとしてきた。
飛行機の開発は、2003年にプロジェクトがスタートし、10年をかけて実際に人を乗せて飛ぶところまで到達した。多くの人が憧れる夢をカタチにする。そこには、八谷氏は「アイデアは、たいして重要ではない」と語る。『ナウシカ』を見て、メーヴェに乗ってみたいと考えるのは難しくない。しかし、誰も実現することはできなかった。
「どれぐらいの期間とお金と資質、環境が必要なのかを具体的に調べることを、ほとんどの人がやっていません。アイデアは凡庸でもいいので、そこに執着することが大切です」
次の目標は「ベイマックス」
八谷氏が、次に目を付けているのは「ベイマックスのような」ロボット。『ベイマックス』は昨年末に公開されたディズニーのアニメ映画で、人間に危害を加えない、人を癒すロボットが活躍する物語だ。
「以前から、大人を『高い高い』してくれるロボットをつくろうと思っていて、『ベイマックス』を見たときに、これで説明すればわかりやすいとピンときました」
八谷氏は、フィクションとノンフィクションの境界を越えてプロダクトを構想する。
「『ベイマックス』のような映画を見るときでも、それが完全なフィクションだとは思わないんです。『ベイマックス』のようなロボットは実際、カーネギーメロン大学などで開発されています。映画のスタッフは …