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クリエイティブ・ゼミ訪問

「町」「鮭」「食」「家」「茶」… 取材を通して発見した“村上らしさ”

長岡造形大学 造形学部 視覚デザイン学科 地域協創演習(学科横断合同プロジェクト)

鮭漁のまち、北限の茶処として知られる新潟県村上市。同市の観光をPRするガイドブックを長岡造形大学 視覚デザイン学科の学生たちがつくった。取材を通して発見した“村上らしさ”を「町」「鮭」「食」「家」「茶」の5つの章で構成し、その魅力を水彩画で紹介している。

01 地域協創演習の学生たち。

村上の魅力を取材し、水彩画で紹介

新潟県北部にある村上市の観光協会は、誘客促進を目的に長岡造形大学と連携し、村上市のガイドブック『むムm』を5月に発刊した。村上市出身の視覚デザイン学科、吉川一郎准教授が編集長を務め、学生自らが主体的に企画し、取材から原稿執筆、編集、イラスト、デザイン、校正などを担当した。同学は、地域に暮らす人々と力を合わせ、魅力的な町を創る授業やプロジェクトを推進しており、その土地や社会で求められる課題を解決するためのデザインを養う教育をしている。学生たちは何度も足を運び、村上で暮らす人々との会話を通じて、その魅力を探っていった。目指したのは、観光名所やグルメ情報を数多く紹介する従来のガイドブックや観光パンフレットとは違う、そこで暮らす人々の生活や人情が浮かび上がるようなガイドブックだった。

「取材を始めた当初、よく耳にしたのが『何もない場所でしょ』『こんなことがおもしろいの?』という村上市民の反応でした。学生たちは不思議に思いました。鮭漁も町屋の間取りも興味深く、とても新鮮に映ったからです。その事実を話すと、大いに喜び、誇りや自信を持ったようでした。市民には当たり前の日常が学生にとっては刺激的な体験。自分の魅力は自身では気づきにくいものです」(吉川さん)。

取材を通して発見した“村上らしさ”を情報整理し、「町」「鮭」「食」「家」「茶」という5つの章で構成。村上の町で働く人々の姿や鮭漁の方法、伝統料理の塩引き鮭や郷土料理、町屋や村上茶の歴史などを水彩画のイラストと短い文章でまとめた。読んだ人が心で感じ、想像を膨らませて楽しめるよう工夫している。

「取材に伺った中で印象深いのは、三面川の鮭漁です。卵を取り出して孵化場へ運ぶ一部始終など、現場で感じた臨場感は、資料では得られない感覚でした。制作ではロゴを担当し、皆で作った中身と合体させた時は、検討を重ねて作っただけあり、喜びもひとしおでした」(4年生/加部玲奈さん)。

タイトルの『むムm』は村上の「む」を基に、一度聞いたら忘れられない名前に。歴史がありさまざまな顔を持つ村上の、過去をひらがな、現在をカタカナ、未来をアルファベットで表している。

「本づくりのAtoZを経験することで …

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