最終審査員、一次審査員、縦型部門審査員
今回で12回目を迎えた「Brain Online Video Award」(BOVA)は、映像制作業界の活性化と、これからを担う動画クリエイターの発掘と育成を目指し、ブレーンが2013年から実施するオンラインに特化した動画のコンテストです。プロ・アマ問わず、課題に対する自主制作を募集する「オンライン動画部門」とTikTok for Business とのコラボレーションで本年度新設した「縦型動画部門」の2部門で動画を募集し、審査します。
BOVA
6月に発表されたBOVA(ブレーンオンラインビデオアワード)第2回の一般公募部門グランプリ「tilt」の制作者にインタビュー。見事応募作の頂点を勝ち取った動画は、どのように生まれたのか?
(企画・演出:荒川大、撮影:三木章太郎、出演:大森創)
見るからに運動しなさそうなサラリーマンが街中を歩いていると、謎の機械音とともに世界が傾いて(tilt)いく。不条理に降りかかる困難を乗り越える中で、主人公は身体を動かす楽しみを発見していく。審査員からは「普段の風景を違った観点から見直す映像作品。普段走っていない人に強制的にモチベーションを与えるアイデアになっている」などと評価された。
突然傾く街に翻弄されながらも、走っていく主人公――動画「tilt(傾き)」のアイデアはどう生まれたのだろうか。「当初はもっと詳細なSF的なストーリーがついていたんですが、3分に収まらないし、そもそもそんな凝った映像は僕たちには撮れないね、と。なのでSF部分の設定はばっさりカットしました」と受賞チームの荒川大さんは当初を振り返る。
残ったのは、街の中を主人公が走るシーン。ここで荒川さんたちは、どの応募作にも入っているであろう「走るシーン」を、「他の応募作品とは明らかに異質なものにしようと考えた」という。「映画『インセプション』のように世界が傾くアイデアはどうだろうか?と。ネタがシンプルでわかりやすいですし、続きが気になるように展開を広げやすいだろうと考えました」という。
撮影は、企画を思いついた次の日早々に行った。三脚のカメラを支える雲台の部分のネジを1カ所ゆるめ、据え付けた一眼レフをタイミングに合わせて傾ける。それで映像の中の世界が傾いた。「スタッフは皆ボランティアですし、超低予算動画です。一番高かったのは、ニューバランスのシューズです(笑)」(荒川さん)。
制作チームの3人は大学の演劇仲間で、荒川さんは電通入社3年目のコピーライター …