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ジョン・ケージ、デュシャン、荘子…作家クリストフ・シャルルさんの選んだ4冊

Christophe CHARLES(クリストフ・シャルル)

クリエイターのオフィスを訪ねると、よく見かける、大きな本棚。忙しい仕事の合間に、クリエイターたちはどんな本を読んで、どのように仕事に生かしているのか。第76回目は、作家のクリストフ・シャルルさんに、自身の仕事や人生に影響を受けた本について聞きました。

『サイレンス』

ジョン・ケージ(著)、柿沼敏江(翻訳)
(水声社)

1961年に初版された、ジョン・ケージの講義記録・ショートストーリー・論文集「サイレンス」によって、私は作家になるように導かれた。作曲(音の構成、音による作品の制作)は、まず聴き取りから始まる。しかし「雑音」も含めてすべての音を平等に聴き取るというのは、簡単な行為ではない:子どもの頃から教え込まれた「常識」から離れなければならないのだ。

つまり「当たり前」とされていること、そして自分の「好き嫌い」や「欲」に対して常に疑問を持つことである。「美」と「醜」、「善」と「悪」、「主体」と「客体」などなどの区別も同様、教え込まれた二元論から離脱することは大事である。

東洋の哲学に関心をもったケージが鈴木大拙の講義を受け、主に教えられたのは「個々の物事や個々の人間が中心にあり、さらにこの中心にある個々の存在が、あらゆるものの中で最も尊いものだ」ということであった。

音楽も含めて全ての芸術は自己表現のためではなく、むしろ世界、人生、日常を差別せず本格的に楽しむための手段である。全ての音が音楽になり、世界中はコンサート会場になる。

 


 

『マルセル・デュシャン全著作』

マルセル・デュシャン(著)、ミシェル・サヌイエ(編集)、中西夏之(装丁)
(未知谷)

デュシャンは美術の革命家で、ケージに多大な影響を与えた。画家としてデビューしたが、やがて絵画という「網膜を刺激する芸術」を敬遠し「レディ・メイド」や「大ガラス」を通して「コンセプチュアル・アート」の先駆者となった。ケージが全ての音を楽しむことに対し …

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