4月18日から1週間、羽田空港国内線第1・第2旅客ターミナルで開催された「羽田劇場」。「空旅をよりドラマチックに」を合い言葉にオリジナルのミュージカルやパフォーマンスショーが展開された。
気持ちを盛り上げるパフォーマンス
この企画が実施された背景には、近年進む空港のチケットレス化がある。チケットレスで便利になる一方、搭乗時間の短縮化により、搭乗者の空港滞在時間も短くなっている。日本空港ビルデング(羽田空港)ではこうした状況を課題ととらえ、「空港での待ち時間を楽しく過ごしてほしい」と考え、空港そのものが話題になるイベントを望んでいた。
それを受けて、小山薫堂さん率いるオレンジ・アンド・パートナーズが提案した企画が「羽田劇場」である。「空港はさまざまな人間模様を持った人々が集まる、ドラマにあふれている場所。そこでいくつかの物語が展開される、映画『ラブ・アクチュアリー』のような群像劇ができないかと、小山が話したことから始まりました」(クリエイティブディレクター武石君宏さん)。そのときに、社内会議で「羽田劇場」とネーミング。この言葉の強さが、企画全体を引っ張っていった。
「空港では音量、場所など規制が多く、最初から舞台装置をセッティングすることはできませんでした。その中で、劇としてのクオリティをいかに担保するか。さらに、その場にいる人たちにいかに注目してもらうかが課題となりました」。
パフォーマンス、ミュージカルの制作は、オリガミクスパートナーズの上田有史さん、演劇集団キャラメルボックスのプロデューサーを務める仲村和生さんと進めた。物語は、いずれも空港にまつわる人やコトがテーマ。新しい場所へと旅立つ人、それをサポートするキャビンアテンダントや清掃員など空港で働く人たちの姿を描いた。公演はいずれも空港を利用する人たちの気持ちを後押しする物語で、最後に必ず「良き空旅を!いってらっしゃいませ」といった台詞を入れた。
懸念していたパフォーマンスの始まりには …