最終審査員、一次審査員、縦型部門審査員
今回で12回目を迎えた「Brain Online Video Award」(BOVA)は、映像制作業界の活性化と、これからを担う動画クリエイターの発掘と育成を目指し、ブレーンが2013年から実施するオンラインに特化した動画のコンテストです。プロ・アマ問わず、課題に対する自主制作を募集する「オンライン動画部門」とTikTok for Business とのコラボレーションで本年度新設した「縦型動画部門」の2部門で動画を募集し、審査します。
BOVA
2年目を迎えたBOVA(ブレーンオンラインビデオアワード)の審査結果が発表された。今年は一般公募部門171点、広告主部門223点の計394点の応募があった。その中から選ばれた入賞作品および審査員による講評を紹介する。
ニューバランスジャパン「tilt」
荒川大(電通)
IDEA:見るからに運動しなそうなサラリーマン。ある日の帰り道、突然、謎の機械音とともに世界が傾いて…。スポーツと無縁の生活を送る主人公が、不条理に降り掛かる困難を乗り越えるなかで、身体を動かす楽しみを発見する。
受賞コメント:大学の後輩2人と一緒に、手作り感満載で作った映像でグランプリをいただけたことに、ただただ驚いています。企画段階から、どの瞬間を見ても違和感のある映像づくりは心がけましたが、主役の彼の愛くるしい疲れ顔が一番のポイントだったのかなと。実は、「息子へのプレゼントに買った靴を、勝手に履いてしまった」というボツ設定があったりします。そう思って見返すと、新しい発見があるかもしれません(無いかもしれません)。
レキットベンキーザー・ジャパン「愛のカタチ」
秋山千尋(おちゃづけ(大広))
IDEA:人間とは違い、動物はどんなときも身体全体で率直に愛を表現する。さまざまな動物の求愛行動を人間で表現することによって、素直に愛を伝えることのすばらしさをメッセージした。
受賞コメント:日本人は下ネタに敏感です。どうやったらエッチに見えないようにコンドームの広告がつくれるのか。どうやったら日本のお茶の間に流れても、嫌悪感を抱かずに見てもらえるのか。シュールだけど、かわいらしい。コンドームの広告だけど、見ると幸せな気分になる。そんな心地いいギャップのある動画を目指しました。
サントリー食品インターナショナル
「忍者女子高生 | 制服で大回転 | japanese school girl chase #ninja」
IDEA:オーガニックな再生回数向上を狙うために、PR要素をちりばめた動画制作に傾注。「忍者」「女子高生」「パルクール」「日本の伝統建築」といった海外の方にもノンバーバルで受け入れられやすく話題にしやすい動画制作を行った。
受賞コメント:走り回る女子高生を、監督が追っかけながらスマホで撮影。別アングルはスタッフ全員のスマホ。プレイバックもスマホ。決め込んでつくるCMとは違う、LIVEでDIYな現場。“新しい映像のつくり方を、スタッフみんなでつくっていく。”そんな仕事になりました。最後まで不確定なことばかり。緩い進行になっても寛大な心で完成までを楽しんでくださったサントリーの皆様に、心から感謝申し上げます。
日清食品ホールディングス「SAMURAI IN BRAZIL」
IDEA:青い甲冑を着たサムライが、単身サッカーの本場ブラジルに乗り込み、超絶足技を披露する。アップロードからわずか一週間でYouTube再生回数が750万回を突破。国内外500以上のウェブPRに掲載され、W杯関連動画において、ナイキなどのバズムービーと並ぶ、世界的なヒットコンテンツに。
制作者コメント:このムービーで初めてバズというものの快感を知った気がします。地球って丸いんだ!オンラインって世界中とつながってるんだ!と身体の芯で実感した感じです。幾千もの多種多様な言語で書き込まれたコメントを見るたびに We are the earth!って感じがしました。BOVAのそうそうたる審査員の方々にも認められて、ホント幸せな仕事です。
アサヒビール
「黄昏れ居酒屋」
長井謙(映像テクノアカデミア)
IDEA:お酒の良さを「悩み明かそう、飲み明かそう」というコピーで表現。普段人生に悩みを抱えていそうな「モノ」達を擬人化することで、悩みを打ち明け、励まし合う飲み仲間たちの温かい雰囲気を伝えることで、お酒の魅力を視聴者に伝える。
受賞コメント:前回もBOVAに応募していたので、リベンジできて、本当に嬉しいです。ありがとうございます。今回はYahoo!映像トピックスにあるような、テーマ性のある作品にするように心がけました。この賞を機に、もっとみんなを楽しませるようなものを作りつづけていきたいです。
グループセブ ジャパン
「男の自炊1週間メニュー」
松浦健太郎(サクセス)
IDEA:独身男性の1週間自炊、それも作った料理を食材に次の日のメニューを作るという「リレー飯」にいざ挑戦!日曜日から次の日曜日までの1週間、形を変え、味を変え次々と進化するディナー。そしてたどり着いた、意外な結末とは⁉
受賞コメント:誰でも投稿でき、共有できる—「Web動画」の魅力の一つにはそんな身近な映像体験があると思います。今回はそのリアリティの中でどれだけエンターテインメントできるかにチャレンジしました。料理を作り食べるのは楽しい体験であることがティファールを通して演出できたと思います。一番美味しかったのがピザで、餃子も意外な食感でかなりいけました!しかし編集の時はハラが減りました…。料理モノは夜編集しちゃだめですね(笑)。
レキットベンキーザー・ジャパン
「LOVE♡48 愛の48手組んでみた」
太田良(AOI Pro.)
IDEA:愛をたくさんつたえよう。セックスは恋人同士が愛を深め合う行為。なのに日本人は、セックスに恥ずかしさや抵抗、興味を持てない人が多くなっているという。でも、日本には昔から48手というセックスを通じて愛を伝えたり、行為を楽しむための色々な型があった…。
受賞コメント:実際に48手を組む様子を映像化することでもっとセックスを通じて、愛を伝えあいたくなる、試してみたくなる動画を制作しました。Web動画ならではの表現を目指したので、今後この動画がいろんな人にシェアされることを祈ってます。スタッフの皆様、ありがとうございました!
アサヒビール
「how to have a drink」
石井窓呂(simpleshow Japan)
IDEA:ハタチになった主人公が、「ほどよいお酒は、人生を豊かにしてくれる」というメッセージを、歴史上の著名人から学ぶ物語。描き起こしたイラストを手で動かしながら撮影し、デジタルデバイスの中でより印象づける工夫を随所に凝らしている。
受賞コメント:「アサヒスーパードライ」や「竹鶴」はもちろん、秘かに好きな「ランソン・ブラン・ド・ブラン」や「コンドリュー」を飲みながら脚本を考えていたら、自然と、李白やシェークスピアの本に手が伸び、ヘップバーンの映画を見返していました。ほどよいお酒は仕事も豊かにしてくれます。この解説動画がお酒文化発展の一助になることを願って、早く仲間と乾杯がしたいですね~。アサヒビールの皆様、ありがとうございました!
協賛企業からのコメント:この度は受賞おめでとうございます。「適正飲酒の啓発」と「お酒の素晴らしさ」の両面が、非常にバランスよく、かつ自然に表現されていたことが選出の決め手となりました。歴史上の人物・名言がイラストでわかりやすく表現されており、長年愛されてきたお酒のよさが伝わってきました。この動画を通じて、ほどよいお酒を楽しみ、人生が豊かになる方が増えることを期待します。最後に受賞者の方をはじめ、ご応募いただきました皆様に御礼を申し上げます。(アサヒビール デジタル戦略部長 松浦端)
グループセブ ジャパン
「Rhythm of daily life.」
スターランド コミュニケーション
IDEA:休日の昼下がり、ホームパーティーの準備をする女性。キッチンにはたくさんのティファール製品。その製品から出るさまざまな音が折り重なってリズムトラックになっていく…。豊かで快適な「暮らしのリズム」に溶け込むティファールを表現した。
受賞コメント:日頃からティファール製品を愛用しているユーザーの一人として大変嬉しく思います。作品中に登場するティファール製品で作ったお料理の数々は、撮影終了時にみんなで美味しくいただきました。結果、それがギャラになってしまったスタッフ&出演者の皆さま、打ち上げしましょう!あ、もちろんティファールパーティーで!
協賛企業からのコメント:受賞おめでとうございます。明るく清潔感のある映像に合わせて、ティファール製品を使う音で軽快なリズムが作られていく様子がとても楽しく、ティファールのモットーである「日々の暮らしをもっと楽しく、もっと快適に」にマッチしているため選出させていただきました。製品の使い方や外観ではなく「音」で楽しさを表現するという発想が素晴らしいです。その他、たくさんのご応募いただきありがとうございました。(グループセブジャパン(ティファール)マーケティング本部 PR&WEBマネジャー エリクソン容子)
ソネット
「本能寺にて」
如月教授(ATOMS)
IDEA:誰もが知る“あの出来事”を引用し、ネットワークが人々にもたらすものをSF的に描く「オンライン・ビデオ寸劇」。
受賞コメント:「クリエイティブとは、或いは耽美的なコンセントレーションである。」母が口癖のように私に言い聞かせた言葉です。未だにその意味はわかりませんが、本作品はマーコムのプラグマティズムを超越したCSV的コミュニケーションストラテジーを体現したもので、構想5年のシーケンシャルな映像的ビデオムービーです。私はこの誉れある賞を機に広告界を去りますが、ふと月を見上げる度に、創造性の漸進を願ってしまうことでしょう。
協賛企業からのコメント:受賞おめでとうございます。ユーモラスな表現を交えながら、インターネットは「人を繋げる」「コミュニケーションを加速させる」という本質が描かれています。インターネットで新しい価値を提供し、未来を楽しくするというSo-netのビジョンがうまく表現されているので企業賞とさせていただきました。ご応募いただいた皆さま、ありがとうございました。応募作品はSo-net公式YouTubeアカウントにて掲載中です。(ソネット ブランド推進室 渡邉絵梨香)
ナビタイムジャパン
「On Time,In Life.」
松尾健太、木造悠吾
IDEA:突然、鍋をやることになった友人たち。翌日の鍋パーティの時間に間に合うよう、全国各地に行って食材を集めることになる。
受賞コメント:旅の“シズル感”を一番大切にしたかったので、飛行機・電車・車を使い日本各地に足を運ぶ企画にしました。「制作費=旅費&食費」です。ナビタイムは目的地に向かう片道検索の利用が多いと思いますが、今回の目的は戻ってくること。限られた時間を目一杯楽しめるか?というテーマにしました。旅番組が作れるほど素材は残っているので…ディレクターズカットを作ってもう一度みんなで鍋をつつこうと思います。
協賛企業からのコメント:松尾さん、木造さん、協賛企業賞の受賞、おめでとうございます。今回は、さまざまな交通手段で最適なルートをご案内する「NAVITIME」について、道に迷わずに移動できる安心感を伝える動画をテーマに募集いたしました。非常に楽しく、軽快で、NAVITIMEの魅力が伝わるこの作品を選ばせていただきました。ご応募いただきました皆様に感謝申し上げますとともに、今後の益々のご活躍をお祈り申し上げます。(ナビタイムジャパン トータルナビ事業/事業責任者 森田巨樹)
日本自動車連盟(JAF)
「Little Driver」
谷村隆裕(電通関西支社)
IDEA:小さなドライバーの視点で、クルマ本来のワクワク感と、JAFの安心感のある日常をドキュメンタリータッチで描く。
受賞コメント:おとんが普段、どんな仕事をしてるのか。3人の息子たちが今回の撮影や編集を通じて何となく理解して興味を持ってくれたのが、収穫です。そして、「いかにお金をかけずに、いいものを作るか」という目標にいろんなナイスアイデアを出しあってくれた田中さん、神谷さん、小野くん、のび太くん、ももちゃん、本当にありがとうございました!
協賛企業からのコメント:受賞おめでとうございます。「若者のクルマ離れ・運転離れ」という現実が自動車業界に重くのしかかかり、それぞれが課題解決に取り組んでいる中でホッと一息つかせるような作品でした。誰もが記憶にあるミニカー遊びの風景でノスタルジックな雰囲気を出しながらも、スパイスの効いたJAFのPRは、社内でも好評でした。今後のますますのご活躍をお祈り申し上げます。(日本自動車連盟(JAF)広報部長 酒井明夫)
ニューバランスジャパン
「Form of FUN」
西岡裕(VISIBLEX)
IDEA:走る、跳ねる、回るなどの若者の生き生きとしたアクティビティを、足元にLEDを仕込んで撮影し、ライフスタイルの中にあるニューバランスを表現。コンセプトは「好きなことに夢中になれば人はつながり共感しあう。一歩踏み出せば、誰もがMetropolitan Runners」。
受賞コメント:今回企業テーマとして、“都会のランナー像”というものがありましたので、多様化する都会をイメージしたさまざまな人たちにご協力いただき、NBがもつストリートらしさ、それぞれのライフスタイルに寄り添った使用シーンを描きました。みなさんの走りが描く軌跡はとても美しく、エモーショナルでした。賞をいただけたことを大変嬉しく思います。ありがとうございました!
協賛企業からのコメント:受賞おめでとうございます。今回のニューバランスのMetropolitan Runnerという新しいコンセプトに対して、とにかく「かっこいい」映像表現に目を奪われました。都会で生きるひとびとの姿を生き生きとした表情や動きで捉えることで、ランニングという枠を超えたアクティブなイメージを作り出していると思います。ありがとうございました。(ニューバランスジャパン マーケティング部長 鈴木健)
ふくおか フィナンシャルグループ
「ありがとうの貯蓄」
松浦健太郎(サクセス)
IDEA:人生のイベントはお金に関わることばかり。その中で、母と娘が一緒に過ごす最後の日を切り取り、お金というカタチの見えるもので、カタチの見えない「ありがとう」の気持ちをフィクションとノンフィクションの融合で表現した。
受賞コメント:お金を誰かのために使う時、人はどんな思いになるのかを考え企画をしました。出演者の実際の親子との打ち合わせで、フィクションとノンフィクションを織り交ぜるアイデアが!実際の親子から出る本物すぎるオーラには、想像以上に気持ちを伝えるパワーがあることを知りました。選んでいただいたふくおかフィナンシャルグループの方々、関わったスタッフ・出演者の皆様、ありがとうございました!この気持ちはノンフィクションな「ありがとう」です。
協賛企業からのコメント:ご応募いただき、ありがとうございました。一人暮らしを始める娘のために、こつこつと母親が貯めていた通帳に込められた“お金の気持ち”=“親心”が上手く表現されており、ラストの「ありがとうを貯めていこう。」という受け手側の決意を表すコピーがとても印象的でした。また、メイキングにおける手紙のやりとりもユニークなアイデアだったと思います。敬意を込めて協賛企業賞を贈ります。(ふくおかフィナンシャルグループ経営企画部/主任調査役 奈須洋介)
レキットベンキーザー・ジャパン
「【B級ホラー】繁殖するコンドーム」
伊達真拓(mugico.)
IDEA:デートの最中、財布をなくし、喧嘩をしてしまった、つきあいはじめのカップル。運良く財布を見つけるが、こぼれ落ちたコンドームが点々と森の奥へつながっていた。ひとつひとつ拾い集め、迷い込んだ森の中で彼氏が見たものとは。
受賞コメント:はじめまして、フリーの集団のmugico.です。この度は、すばらしい賞をいただき、ありがとうございます。『ヘンゼルとグレーテル』を思わせる怪しげな森を舞台に、durexさんのブランドキャラクターを大切にした作品を目指しました。幻想的(?)なラストシーンで打ち解けるカップルから、多くの方にこのメッセージが伝わればと思います。
協賛企業からのコメント:この度は受賞おめでとうございます。日本人にとって恥ずかしいコンドームを“愛を伝えるアイコン”として表現して欲しいという内容に対して、数ある作品の中でもテンポよくメッセージが凝縮され、弊社チーム内で高く評価されました。正直に伝えることに躊躇する彼の気持ち、次に何が出てくるのかドキドキする展開、これはシェアしたくなる!と思いました。これを観た人たちが愛を伝えたくなることを願います。(レキットベンキーザー・ジャパン デジタルメディアマネージャー 趙恩淳)
ニューバランスジャパン
「Why I'm running」
小林達仁(電通)、田村啓介
IDEA:City Runnersではない、Metropolitanという言葉に内包される、単純にきらびやかで華やかな世界だけではない「複雑さ」。特に、大都市に住む私たち若者は、さまざまな感情に押しつぶされそうになりながら生きていると感じます。そして、たくさんの感情の交差に耐えきれなくなった時に、ただただ走り出すFUNだけじゃないRUNがきっとあるのではと思い、それを描いてみました。
受賞コメント:今回は、直球勝負した作品でした。が、もっとWebらしいアイデアを組み込んだ映像を作らねば…と、提出した後も反省とアイデアが尽きない楽しい制作でした。とにもかくにも皆様にたくさん見ていただけたことが嬉しいです。本当にありがとうございました。次も頑張ります。
オークローン マーケティング
ワンダーコア
「倒れるだけで」キャンペーン
IDEA:商品特徴である「体を倒すだけで腹筋が鍛えられる」ということを、日常から非日常までさまざまな倒れるシーンを用いて、コミカルに描いたテレビCMを制作。CMの名場面である「鉄球シーン」をリアルに体験できるイベントも実施し、体験動画がYouTubeにアップされる仕組みで話題化を目指した。
受賞コメント:3歳の息子がYouTubeを使っている姿を見ると、テレビが最初で次にWebという階層的な考え方ではなく、CMも含めて全てのベースにWeb(とWeb的な考え方)がある時代が来ていると思います。そういう意味では、Web的な考え方をCMのプランニングやコミュニケーションに盛り込めた仕事になりました。一方で、そう考えていくと、「オンラインビデオアワード」という賞のあり方も転機を迎えているんではないかとも(笑)。(須之内元也)
トヨタ マーケティングジャパン
「THE WORLD IS ONE.」
IDEA:国や言葉や文化や肌の色が違っていても、ひとの心の動きかたは同じだ。ひとがひとを思う気持ちは同じだ。その同じ部分があるから、そのことを信じて世界を作っていけばきっとたくさんの今僕たちを囲む問題は解決するはずだ。そういうメッセージを車と青春というモチーフで伝えるものをつくりました。
制作者コメント:企画をしたときはなんと効率のいいものを考えついたのか、と自分で感心していたのですが、いざ撮影に入ったら、これほど大変なものはありませんでした。すべての要素を同じにつくることの苦労は今まで味わったことのない経験でした。最後まで、3つの山を登りきったスタッフに本当に頭が上がりません。賞をいただけてとてもうれしいです。(髙崎卓馬)
日清シスコ
「五五七二三二〇『半世紀優等生』
ココナッツサブレ『50周年』」
IDEA:ココナッツサブレ50年目にしてほぼ初の広告キャンペーン。お菓子のターゲットである10~20代に再びファンになってもらうことを目的に、「私立恵比寿中学」(エビ中)扮する「新人アーティスト」をソニー・ミュージックレーベルズからデビューさせた。
制作者コメント:勝敗の分かれ道になると最初から思っていたことが2つ。1.広告ということがわかっても、好きになってしまう楽曲と映像。 2.演奏に嘘がないこと。作曲のKenken(Rize)とトミー(Piano)へのお願いは、「楽器を持ったことがないアイドルでも弾けて、でも一度聞いたら人に言いたくなるぶっとんだ楽曲を書いてほしい」でした。そのときは、「この人何言ってんだろう?」って2人ともしばらく無言になっていました。
川村真司(PARTY)
昨年に引き続き楽しく審査させていただきました。CMなどと違って自由で枠がないだけに、なんでもありだし、ただなんでもありじゃダメという楽しくも難しい賞だと改めて感じました。僕はともかく「30秒くらいで飽きるのではなく、ちゃんと最後まで観たいと思う作品」ということだけを気にして審査しました。オンラインだから長尺や物語ものをやろうというのは大間違いで、オンラインだからこそよりインパクトがあって人をぐいぐい引き込むようなコンテンツを作らなくてはいけない。かわいいハムスターの映像に勝つのは相当難しいのです。受賞作品はどれも素晴らしい映像ですが、ただ残念なのは、一般公募部門・広告主部門共に、悔しいなと思う作品は一点もなかったことです。オンラインビデオとはそもそもどういう定義なのか。何を求められ、何が良い作品なのか。早いもので次回3年目に入るBOVAは、その辺りの指標になるような考えを提示できるようになるといいなと思います。
澤本嘉光(電通)
まず学生部門に関して言えば、学生がどういった物が「いい動画」と評価されているのかがわからないまま応募している気がします。なので見本を学生が知る場があった方がいい。BOVAには優れた動画のアーカイブを設けるなど、その役割を期待したいです。一方、審査を通じて感じたのは、動画が「長くて下手なCM」になってきていないか?ということ。下手でも勢いだけがあっていい、といった動画が少なくなっている。再生回数を狙って、海外で受ける日本っぽい動画をつくった結果、日本で見たらつまらない…という風にはなってほしくない。国境を超えるのがインターネットのよさですが、広告として機能させるには、国内を置き去りにはできません。そうした視点での評価基準づくりが必要だと思います。
齋藤精一(ライゾマティクス)
本年はBOVA2年目ということで、昨年と比べることがようやくできる回でさまざまな議論が審査中もありました。全体のクオリティとしてやはり高いと思います。しいて言えば、学生がもっと積極的に参加してくれるともっと面白くなると思います。今年強く思ったのは、Webムービーとはいえ、掲載場所や展開によって内容もメディアプランや露出方法も含めさまざまな展開が考えられること。これはCMのようなメディアを買って終わりということではなく、その展開も含めてWebムービーであると思いました。一般公募部門、広告主部門、学生部門すべて去年とは違った味の面白さがあったとおもいます。今から来年が楽しみです。
木村健太郎(博報堂ケトル)
オンラインビデオはCMのような強制視聴でなく能動視聴。そのために、バズらせる企画、見続けさせるための演出、社会問題への気づかせ方、マス連動の工夫など、さまざまなコミュニケーションの手口が許される異種格闘技戦です。ただ、「なんでもあり」の実験的な映像が多かった初年度の昨年に比べると、若干手法が定着してきた感もあり、そろそろ日本のオンラインビデオのあり方について議論するステージなのかもしれません。
谷川英司(TOKYO)
アイデアが明確で強く、時間を忘れる体験になっている。かつ世界ばかりに意識が向かい、日本のマーケットでは楽しめないものになっていないか。去年今年と審査させていただき、徐々にBOVAの審査基準が見え始めました。広告主部門は今年、デジタル施策を何か絡めた映像よりは、映像完結型の、従来言われていたバイラルムービーのようなモノが、新たな鮮度とクオリティを持って、輝いていて、どれも素晴らしかったです。一般公募部門は、意外と表現やアイデアは硬く、ただ尺が自由で長いだけのモノも多く、オンラインのよさを生かしきれていないのは残念でしたが、選ばれた作品は、アイデアが強く押し出された作品だったと思いました。学生には、もっと良質な作品を見て、学び、荒削りでも、ヤンチャでもいいので、アイデアが中心にあるモノが見たかったです。
佐々木康晴(電通)
審査、楽しかったです!オンライン動画はここ1年で皆がこぞって使いだしていて、「やってみた系」とか「海外から逆輸入系」など、話題化作戦がいくつか作られたと思うのですが、今回それを打ち破る新しい「型」があまり見られなかったのが、少しだけ残念かなとも思いました。一般公募部門では「長い広告」的なものもまだ多く…。もっと自由に動画を使い倒してほしいなあと。個人的には、五五七二三二〇に、失われた青春を重ねました。