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消費者の心をつかむクールなグリーン・マーケティング

楓セビル

01 棄てられる運命の野菜を使って作ったジュースやスナックなどに、「イングロリアス(醜い野菜と果物)」という名前をつけて売り出し、成功したインテルマルシェのキャンペーン。

「醜い果物と野菜」

「グリーン・マーケティング」は火山に似ていると表現した人がいた。火山はものすごい勢いで噴火する時もある一方、何事もないかのように平穏に、静かに眠っている時もある。グリーン・マーケティングも同様に、突然、すべての人の意識にのぼる時と、その存在があまり人目につかず、知る人ぞ知るマーケティングに留まっている時もある。2015年4月22日の国連による「アースデー」は、世界各国が10億本の樹木を植え、木の種を蒔いた平和な、そして静かな一日であったが、いま一つ盛り上がりに欠けていた。グリーン・マーケティングの火山は、まだ休眠中なのかもしれない。だが、ただ一つ、広告の世界では、思いがけない”偶然”が起きた。

この日、ニューヨーク・アドバタイジング・クラブによるAndy Award(アンディ賞)の受賞式が行われたが、そこでフランスのスーパーマーケット・チェーン、インテルマルシェのグリーン・マーケティング・キャンペーン「Inglorious Fruits and Vegetables」(醜い果物と野菜)(01)が、世界中から集まったさまざまな広告を押しのけて、グランプリであるGrandy賞を獲得したのだ。いかにもアースデーに相応しい大賞であった。

毎年、世界中で約3億トンの果物や野菜が廃棄されている。理由のひとつは、それらの見た目が悪いからだ。何本も足のある人参や大根、へそのような突起のあるオレンジ、芋のような形のレモン…。こんな突然異変的な異形の野菜や果物は、スーパーマーケットの棚に並ぶことはない。その57%が“醜い”がために棄てられる。

2014年、欧州連合(EU)は食品の廃棄を減らすことを、その年のテーマとして打ち出した。フランスで三番目に大きいスーパーマーケット・チェーン、インテルマルシェは、さっそくこのテーマを取り入れ、見た目が悪いために棄てられる野菜や果物を商品として安価に提供するキャンペーンを企画した。見た目は悪くとも、野菜や果物の味や栄養分などは変わらないことを消費者に訴えるために、これらの野菜や果物を使ったスープやジュースを作り、それに「イングロリアス」というブランド名をつけて売り出したのである。キャンペーンはテレビCM、ショートフィルム、ラジオ、ポスター、POPなどを使い、大きく展開。何よりもアンディー賞の審査員たちを感動させたのは、普通は不良品として棄てられる商品をスーパーの棚に並べたインテルマルシェの勇気だ。キャンペーンは、同賞のBravery Awardも獲得した。パブリシス・グループのマーセル・ワールドワイドが制作。

パタゴニアの勇気

02 ニューヨーク・タイムズに掲載されたパタゴニアのメッセージ広告。

勇気といえば、インテルマルシェもパタゴニアの勇気には驚きを隠せないだろう。パタゴニアは、大胆なグリーン・マーケティング戦略で知られる、環境保護をミッションとするアパレルメーカーである。アウトドアウェアなどアパレルを作っているパタゴニアは、環境保護を常にビジネスの基調としているが、この姿勢をもっとも有名にしたのは2011年のブラック・フライデーに出稿した広告だ。

米国では、毎年11月の最後の木曜日に感謝祭が行われるが …

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