成田空港にこの4月オープンしたLCC専用の第3ターミナルビルが、「これまでにないターミナルビル」として注目を集めている。デザインを手がけたのは、日建設計とPARTY、良品計画で成る異色のチームだ。
左上から、日建建設 空港開発プロジェクトチーム 後藤崇夫さん、本江康将さん、田中渉さん、
PARTY代表/クリエイティブディレクター 伊藤直樹さん、
左下から、アカウントディレクター 小野崎裕典さん、デザイナー 今野千尋さん、
良品計画 生活雑貨部 企画デザイン室長 矢野直子さん。
ローコストの制約をはね返せ
4月8日にオープンした成田空港第3ターミナルビルは、述べ床面積約6万6000平方メートル、国際線搭乗口5スポット、国内線4スポットのLCC(格安航空会社)専用ターミナルビルである。これまでにないターミナルビルとして注目を集めたが、陸上競技場のトラックのような床面デザインや、無印良品オリジナル家具の導入などデザイン面の斬新さと共に、注目を集めたのが「ローコスト」建築である点だ。
建設費の予算は約150億円。これは通常の空港の約6割に当たる額である。通常の空港のデザインから“節約”する発想では到底クリアは難しく、全く新しい発想で取り組む必要があった。
こうした条件の元、まず設計会社である日建設計社内で組まれたのが、空港開発プロジェクトチームだ。メンバーは後藤崇夫さん、田中渉さん、本江康将さんの3人。実は全員空港を担当するのは初めてで、新しい発想への期待から、あえて30代のみで編成された未経験者チームである。
「まず従来の空港建築の手法にとらわれずにつくろうと決めました。通常は …